「臭いモノに蓋をした?」なぜ日大は薬物問題で揺れた名門アメフット部の廃部を決めたのか…在籍部員や来春の新入生はどうなる?
一部の部員が署名を添え大学に部の存続の嘆願書を提出したそうだが、廃部の方針が覆ることは難しいだろう。問題は、3年生以下の部員とスポーツ推薦で来春入学予定の新入生の処遇だ。日大は、今回の問題を受けてアメフト部の再来年のスポーツ推薦入学は見直す方向でいたが、来年度に関しては中止することが間に合わなかった。また現役部員には「将来の日本アメフト界を背負う」とまで言われるスーパー1年生QBの小林伸光ら才能を持った逸材が多い。
関東学連のルールでは、編入などで大学が途中で変わっても、計4年間プレーできることになっていて、一定期間試合に出場ができないなどの制限もない。ただ入試レベルを考慮すると「TOP8」「BIG8」に所属している他大学への編入は簡単ではなく、まして120人を超える大所帯の選手が、どれだけ編入できるかも疑問。ただ社会人のXリーグのチームやクラブチームでプレーすることは可能かもしれない。また新入生に関しても、他の強豪大学の推薦入学は、ほとんど終わっているため、アメフットを続けたいのであれば一般入試で他大学にトライするしかない。
また今後のアメフト部の復活についても否定的な声が多い。
2009年に部員が強盗傷害容疑で逮捕される不祥事で廃部となった近大ボクシング部は、社会貢献や、署名運動などの地道な復帰活動を続けて2012年に部として復活したが、個人競技と団体競技では、その規模が違う。しかも、近大ボクシング部は、2018年以降、スポーツ推薦で選手をとれなくなり、かつての強豪チームが現在は2部に落ちて低迷を余儀なくされている。
関係者の一人は「これまでは名門フェニックスでフットボールをやりたいという優秀な高校生が集まってきていた。しかもアメフトは人数が必要な競技。何年後かに数人で徐々に同好会のようなものから復活するというようなことは考え辛い」と言う。
現在は、世田谷区の一等地にある専用グラウンドが取り壊されるかどうかも大きな問題。同グラウンドは日大系列の高校生も使用していたが、ここが消えると、さらに復活の道は閉ざされることになるだろう。
一連の問題について日大は会見を予定していないそうだが、教育機関として説明責任から逃げてはならない。
(文責・RONSPO編集部)