「社会が廃部にしないと許してくれない。3年後に復活を」…格闘家の青木真也が斬る「日大アメフト廃部問題」
青木は今回の廃部決定の背景には、表面化した大学側の管理不足や対応ミスなどのコンプライアンスの不健全さを帳消しにする狙いがあることを理解した上で、連帯責任を負う必要はないが、現時点で、“社会”を納得させるために廃部という“申し開き”“収め方”が必要だという見方をしている。青木は“体”という言葉を使ったが、逮捕者が3人も出たことで生まれた情報化社会の“炎上”を静めるためのケジメとしての形だ。
アメフト界という“村”の外にいる人の意見としては正論だろう。
そして、この問題の向かう先の解決策をこう提案した。
「一回廃部にして、3年くらいしたら、もう一回やれば(部を復活)いいんじゃないか。どれだけの期間で(社会は)忘れますか…という話じゃないか。あくまでも廃部は体。それも含めて一回“うみ”を出した体で、もう1回やれば(部の復活)いいと思う」
一度、廃部というケジメをつけてから3年後をめどに復活させればいいのでは?という意見だ。
文科省に提出された報告書には「廃止(廃部)は常務理事会、理事会の議を経て、最終的に学長の決裁により決定となります」と記述されていた。その最終決裁権を持つ、酒井健夫学長は、第3者委員会に指摘された一連の対応ミスの責任を取る形で、来年3月31日をもって辞任することが決定している。その能力に疑問符をつけられ辞任する人間が最終決裁権を持つというのも奇妙な話。部員の一部が廃部撤回の嘆願書を大学に提出し、オンラインでは署名運動がはじまり、2万人に迫る勢いで署名が集まっている。だが、おそらく、この先に廃部の決定が、ひっくり返ることは考えつらく、青木が提案するように、その次を見据えた方が現実的なのかもしれない。
過去には、名門の近大ボクシング部が2009年に部員が強盗容疑で逮捕される不祥事で廃部となり、社会貢献活動や署名運動などの地道な復帰活動を続けて2012年に部として復活した例がある。ただ個人競技と団体競技では、その規模が違う。
日大関係者の一人は、「これまでは、日大には、名門フェニックスでフットボールをやりたいという優秀な高校生が集まってきていた。しかも、アメフトは人数が必要な競技。一度、廃部にしてしまうと、その強さの土台が崩れ、再びいい選手を集めることは難しい。復活はイバラの道になると思うし、大前提として世田谷区の一等地にある専用グラウンドが取り壊されないようにしなければならない」との悲観的な意見を口にした。
日大は週明けの4日に文科省に提出した改善策の説明会見を行う。出席者は、一連の問題の責任を問われ、6か月間の50%減給処分を受けた林真理子理事長と、第三者委員会答申検討会議の久保利英明議長の2人。そこで廃部決定の経緯がどう説明されるのだろうか。
(文責・RONSPO編集部)