「これっておかしくない?」日大アメフト部廃部の「最終決裁権」を不適切対応の責任で辞任の決定している学長が持っている矛盾
日大が大麻及び覚せい剤の取締法違反の疑いなどで3人の逮捕者と1人の書類送検者を出したアメリカンフットボール部の廃部を決めた問題が波紋を広げている。まだ廃部は正式決定されていないが、日大が11月30日に管轄官庁に提出した改善策によると「最終決裁権を持つのは学長」となっている。学長は今回の問題の不適切な対応を招いた責任を取って11月29日の臨時理事会で辞任が決定した酒井健夫氏。任期が来年3月末まで残っているため、その学長が最終決裁を行うことになる。これっておかしくない?
まだ廃部は正式決定ではない
21度の甲子園ボウル優勝、4度のライスボウル制覇を果たした名門「日大フェニックス」の廃部の方針が決定した。いや正式には、まだ決定はしておらず、日大が30日に管轄官庁の文科省に提出した改善策「『学校法人の管理運営に関する適切な対応及び報告(指導)』に対する本法人の今後の対応及び方針」によると「廃止(廃部)は常務理事会、理事会の議を経て、最終的に学長の決裁により決定となります」という手順が必要となる。
薬物問題で部内から逮捕者3人と書類送検者が1人出た。さらに寮内で大麻を使用した疑いのある部員が11人もいる現状を考えれば、犯した罪に情状酌量の余地はない。“モノ言う格闘家”の青木真也が、「個人的には、あくまでも個人の責任で連帯責任を問う必要はないと思う。大学側は、廃部にすることで、なんにもなしとしたいんだろうけど、(寮内で複数が大麻を使用するなどの)組織的な何かがあれば、いまのご時世だと一度、廃部にしないとダメ。社会は、とりあえずの体として廃部というアクションを起こさないと許してくれない」とコメントしているが、これがアメフト界の“外”の意見の象徴だろう。
だが、日大の対応に対しての批判の声は多い。アメフト界からは、廃部へのプロセスが不透明であり、あまりにも早急な廃部決定に異論が噴出している。
120名もの部員を抱えているチームにおいて、個人の罪を連帯責任で全員が負い、しかも廃部にまでに追い込まれることに対して疑問の意見も散見される。現在は、無期限活動停止処分中で、この秋のリーグ戦「TOP8」の全試合に出場できていないが、廃部という極端な結論を下す前に「その無期限活動停止処分の解除時期を延ばせばいいのでは?」との意見もある。
そして今、正式決定を待つばかりの状況となっている廃部問題の最大の問題点として指摘されているのが、この「最終決裁権を学長が持つ」という部分だ。
日大は11月29日に臨時理事会を開き、酒井学長と澤田康広副学長の辞任を決定した。澤田副学長は、年内をもって辞するが、酒井学長の辞任は、来年3月31日付とされている。一連の問題の不適切な対応の責任を問われて辞任する人物が、廃部の最終決裁を行うのは、どう考えてもおかしな話だ。