「それっておかしくないですか?規定ですから」中身のない回答を続けた日大会見…何もかも疑問だらけのアメフト部廃部方針の承認問題…不透明な「継続審議」の行方
「継続審議中」であるなら、廃部の方針を承認したとわざわざ書き入れる必要はあったのだろうか。久保利議長は、「改革の例として、ここまできていますというのはお知らせすべき」と改革をアピールする象徴として報告書に書き入れたことを認めた。廃部方針を撤回した場合、文科省に今度はどう言い訳をするつもりなのだろうか。
廃部方針を承認した理由については、益子委員長は「当初は逮捕された学生の単独犯という判断がされたが、決してそうではなくて、大学管理の大学寮で集団的、常習的な犯罪ではないかという判断があった。大学として安全配慮義務がある。アメフト部の部員、各学部の学生の安全を担保しないといけない。捜査が続いているが、どこで一線を引くのか難しい。調査の限界もある。大学として責任が持てない。一般学生の安全を担保できないという結論に至った。断腸の思い」と説明した。
「安全が担保できない」という理由が引っかかったが、「もしかしたら大麻を使用している学生がまだいるかもしれない。そういった学生とフットボールをしていいのか。一緒に授業を受けている学生もいる。他の学生の安全確保ができない」と付け加えた。
そうであれば廃部にする必要はなく、大麻使用疑惑のある10人を停学処分にして、一般学生と接触できないようにすればいいだけの話だろう。寮内の生活が問題で、そこが大麻の温床になっているのであれば、現在閉鎖されている寮を、そのまま廃止にすればいいことで安全の担保を廃部の理由にするには無理がある。
また120人の部員の中で、潔白である他の大多数の部員も「廃部」という連帯責任を負わせることについては、こう説明した。
「潔白な学生もいると思うし、その学生たちは犠牲を被るかもしれないが調査報告も含めて連帯責任だとは、私は考えていない」
どこがどう連帯責任でないのか理解できなかった。
今回の廃部方針の決定に関しては、SNSやネット上では、個人の犯罪を連帯責任として負うべきか否かの議論が活発になっていた。
益子委員長は、スポーツ科学部の学部長。早大ラグビー部出身で、現役時代はナンバーエイトで7人制の日本代表にも選ばれている。2000年には1シーズンだけ早大ラグビー部の監督を務めている人物。早大から日大の教授になった異例の経歴の持ち主であるが、説明のほとんどが説得力に欠けた。
益子委員長は「廃部とは関係のない個人の意見」とした上でこうも話した。
「知らなかったという学生ももちろんいる。しかし全員が知らなかったわけじゃない、知っている学生がいたという感触はある。それは日本一を目指すチームのあり方としてどうか。グラウンドでの緊張感、勉強も寮内でも規律のある生活をすべきだった。なぜ彼らが自浄作用ができなかったのか。悲しい思いはある」
筆者は、むしろ、これが廃部の真の理由のように思えてならない。
つまり臭いモノに蓋をしたのだ。教学の精神からはかけ離れている。