現役ドラフトで成功した球団と疑問符のつく球団はどこ?…ノムさん“参謀”を務めた元ヤクルト編成部長が独自診断
漆原も、宇田川優希、山崎颯一郎というトップクラスの中継ぎ右腕を揃えるオリックスの投手陣から押し出され、今季は16試合、防御率3.00、1ホールドで終わった右腕。新潟医療福祉大から2018年に育成ドラフト1位でオリックスに入団し150キロを超えるストレートと落差のあるフォークを武器に2021年には、序盤にはクローザー抜擢を受け34試合に登板し、2勝2敗2セーブ、防御率3.03の成績を残して優勝に貢献した。
松井氏が、成功の可能性のある第2グループにまとめたのが、中日の鈴木が入るオリックス、ロッテの佐々木が入る横浜DeNA、ヤクルトの梅野が入る中日の3球団。ヤマハ出身の鈴木は2017年のドラフトでの中村奨成(広島)の外れ1位。桜美林大出身の佐々木は、田中正義(ソフトバンク→日ハム)に5球団がかぶった2016年のドラフトの外れ1位で5球団が競合したサイド右腕だ。ちなみに横浜DeNAは、その年、佐々木を外して濵口遥大を指名している。
「いずれもクローザー、セットアッパーとして実績がある3投手。登板過多で不振に陥り、今年はいずれも1軍ではあまり登板機会がなかったという点も似通っている。ピンチやプレッシャーのかかる場面を潜り抜けてきた経験豊富な3人の復活テーマは、コンディションの回復だろう。1年休んだ翌年に復活するパターンは少なくなく期待がもてる。オリックスの中継ぎ陣は豊富で入りこむ隙は少ないが、投手育成のノウハウを持っているので鈴木がどう変わるか」
鈴木は1年目にセットアッパーとして53試合に登板、2年目は序盤に抑えに抜擢されたが、その後は低迷。サイドスロー、先発転向など試行錯誤して、今季は9試合登板に留まった。梅野雄吾もセットアッパーを任されるなど、通算216試合に登板して14勝4セーブ74ホールドのキャリアを持つが、昨年の後半から登板過多の影響が出て、今季はわずか5試合登板に終わっていた。
佐々木は、中継ぎに転向した入団5年目の2021年にブレイクし、勝利方程式の一角を任され、54試合に登板して26ホールドの防御率1.26。だが、その後、不振に陥り、今季は2試合だけの登板だったが、ファームで覚えたシュートに手ごたえを感じていた。
松井氏が、第3グループに評価したのは、西武の愛斗が移籍するロッテと、巨人の北村拓己が移籍するヤクルトの野手を指名した2球団だ。
「北村は使い勝手のあるユーティリティープレーヤーであり、ムードメーカーとしての期待を込めての獲得なのだろう。愛斗は西武がなぜリストに入れたか不思議だ。伸び悩んでいる部分を見た西武が、環境を変えた方がプラスと考えたのだろうか。ロッテの外野には出場機会があり、レギュラーを確定できていない藤原への刺激にもなる。チームの底上げ、競争力が高まる可能性があり、ブレイクする可能性を秘めている」