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大谷翔平がドジャース入りを決断。10年7億ドル(約1014億円)のほとんどが後払いになる異例の契約(写真・AP/アフロ)
大谷翔平がドジャース入りを決断。10年7億ドル(約1014億円)のほとんどが後払いになる異例の契約(写真・AP/アフロ)

ドジャースと契約合意の大谷翔平が史上最高額10年7億ドル(1014億円)の多くを後払いにする異例の契約を結んだ理由とは?

 去就の注目されていた大谷翔平(29)のフリーエージェント(FA)による移籍先がドジャースに決まった。日本時間10日、自身のインスタにて発表した。契約は、史上最大となる10年7億ドル(約1014億円)。複数の米メディアの報道によるとドジャースに贅沢税がかからないように、その多くを後払いにする異例の契約を大谷サイドが申し入れたとのこと。また契約期間中に大谷サイドから契約を破棄できるオプトアウトは盛り込まれておらず、大谷が生涯ドジャースでのプレーを望んだことになる。

 「オプトアウト(契約破棄)」は盛り込まず

 

 何もかもが歴史的だった。
 大谷がドジャースと結んだ契約は史上最高額となる10年7億ドル(約1014億円)。大谷が9月に右肘の手術を行い、2024年は二刀流としてはプレーできないことも影響して、当初は、5億ドル(約725億円)から6億ドル(約870億円)と予想されていた契約金額を1億ドル(約145億円)も上回った。
 これまでのメジャーでの契約最高額は、元チームメートとなったエンゼルスのマイク・トラウトが2019年に結んだ12年4億2650万ドル(約618億円)で、また年俸も7000万ドル(約101億円)となり、これまでの記録だったジャスティン・バーランダーとマックス・シャーザーの4330万ドル(約62億7000万円)を上回り、史上最高額となった。そして今回は、異例の契約が結ばれることになった。
 代理人のバレロ氏は声明で「歴史的な選手のためのユニークで歴史的な契約となります。両サイドが長期的な成功を約束できることを織り込んだ契約を作り上げました」と語っていたが、年俸のほとんどを後払いにする異例の形になった。
 ESPNやロサンゼルスタイムズ紙が報じたもの。
「大谷のサラリーの“大部分”はドジャースが年ごとに負うことになる年俸総額における贅沢税を和らげることや、大谷の契約中に新たな選手年俸を加える余裕をもたらすために後払いとされる」という。
 ESPNは、情報筋の話として「この後払いは大谷の考えによるものだった」として、この異例の契約を大谷が提案したことを明かした。
 メジャーでは、戦力をできる限り均衡化するため、ある一定の年俸総額を越えた際に贅沢税をメジャー機構に支払うルールがある。金にモノを言わせた補強を抑制しているわけだ。それでも資金力のあるヤンキース、メッツ、ドジャースなどは贅沢税を払うことを覚悟して補強に動くが、大谷は自らの巨額な年俸が、ドジャースの補強に悪影響を与えないように、あえて“後払い”という異例の契約を提案したのである。ちなみに来季の贅沢税にかかる年俸総額のラインは2億3700万ドル(約343億円)。そのうち7000万ドルを大谷が一人で占めてしまえば、今後の補強にも制限が生まれる。

 大谷は「ヒリヒリした9月」を求めていた。
 ドジャースはワールドシリーズを7度制覇して、11年連続でプレーオフ進出を果たしている強豪。2020年に、1988年以来の世界一となっているが、大谷は自らの巨大な契約がチームがより強くなるための妨げになってはならないと配慮したのだ。いきなりドジャースファンの心をつかんだ。
 またESPNやロサンゼルスタイムズ紙によると大谷は10年の契約途中で自らが契約を破棄できる「オプトアウト」を盛り込まなかったという。
 大谷はドジャース入りを報告した自らのインスタの中で、こう宣言した。
「すべてのドジャースファンの皆様、私は常にチームのために最善を尽くし続けることを約束します。 野球人生最後の日まで、ドジャースのためだけでなく野球界のために努力をし続けたいと思います」
 10年契約をまっとうすれば39歳。
 生涯ドジャース宣言ともとれる一文だが、オプトアウト契約を盛り込まなかったことを考えると、大谷は、ドジャーブルーのユニホームで、メジャー人生を終えるという覚悟があるのかもしれない。

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