え！井上尚弥が殴られた？12.26有明の2階級4団体統一戦の公開練習で左目にできていた“青タン”にビックリ…その理由に秘められたものとは？

　目の周りに青タンを作るまでの過酷なトレーニングを重ねることができた裏にあるのが、2階級4団体統一の偉業達成への並々ならぬ決意である。
「凄まじいくらいのモチベ―ションですよ」
　ちょうど1年前にバンタム級の4団体を統一したWBO世界同級王者のポール・バトラー（英国）との試合には、負ける要素が何ひとつなかった。減量は限界に近くなっていて、自分との戦いがメインだった。支えていたのが、唯一、4団体統一という歴史の扉を開くことだけだったが、今回は、対戦相手のタパレスの存在感が井上の気持ちにスイッチを入れた。
「有利」とされる周囲の声への反発心もある。
「周りの楽勝ムードをぶっ飛ばす（意味もあった）。そのムードが一番怖いと思っているので、そういったところを切り替えるためトレーニング内容に向き合いながら調整してきた」
　タパレスはフィリピンメディアを通じて「勝つ自信がある」などの挑発を続けているが、そのネットニュースにも目を通している。
「タパレスの一発、番狂わせ（を起こしてやろうという）気持ちが怖い。それ以上に気を引き締めていかないと」
　大橋会長は、「パッキャオに良く似ている」と、元6階級制覇のフィリピンの英雄でタパレスのプロモーション会社の“親分”でもあるマニー・パッキャオに重ねて、こう警戒した。
「回転力とカウンターのタイミングに重なる部分がある」
　40戦37勝（19KO）3敗の戦績が示すように、一発の怖さがあり、スウェーなどのボディワークを巧みに取り入れた柔軟なディフェンス力を兼ね備えている。
　前戦では、大方の予想を裏切り、ムロジョン・アフマダリエフ（ウズベキスタン）を僅差で封じ込んで2つのベルトを奪った。
「離れても良し、くっついても良しの器用でなんでもできるボクサーのイメージを持ちながら自分の中で組み立てている。タパレスの得意なパンチ、距離、ポジションをね。試合当日に見極める」
　大橋会長は、展開をこう予想する。
「私がタパレスならカウンターを狙うしかないよね。まず相手がどう出てくるか。前半勝負にくるかもしれないし、待って待って、守りに徹してのカウンター狙いにくるかも。それを想像するだけでワクワクするね」