え!井上尚弥が殴られた?12.26有明の2階級4団体統一戦の公開練習で左目にできていた“青タン”にビックリ…その理由に秘められたものとは?
井上は、その1ラウンドの「緊張感を(ファンに)味わってもらいたい」と訴えた。
「今回はフルトン戦の第1ラウンドよりも、もっとピりつく時間になる」
フルトン戦では、前へと誘うため、L字ガードを採用したが、今回は、オーソドックスにガードを固めて対峙する考え。「緊張感」と井上が言うのは、彼もまた大橋会長同様に互いにカウンターを狙う展開を予想し、そこでの駆け引きを想定しているからだ。
「今回もポイントとなるパンチはジャブですね。フルトン戦よりも頭脳戦になるかも。基本は打たせずに打つボクシング。どの距離でも、それをやりきる。すべてを警戒しながら進めていく」
井上は、2か月前の対戦発表会見では、「圧倒的な強さを見せて勝ちたい。ファンの方にはKO決着をお見せしたい」と、フルトン戦では封印していたKO宣言を解禁した。しかし、研究と準備を重ねた結果、そのKO宣言を引っ込めた。
「KOに関しては流れの中で見極めて進めていきたい。しっかりと勝つことをイメージしてやりたい」
7月にスーパーライト級に続いてウェルター級でも4団体を統一したテレンス・クロフォード(米国)以来、史上2人目となる2階級、4団体統一を成し遂げることに主眼を置く。だが、ポイント勝負を覚悟していたフルトン戦も、力の差を見せつけて衝撃TKO劇となった。フィリピーナドリームを目論むタパレスは、防戦一方で最後まで立っていたらOKというファイトはしないだろう。その心意気を示すかのように、フルトン陣営は、執拗に井上のバンテージの巻き方にいちゃもんをつけてきたが、今回は「バンテージは日本のルールに沿う。ご自由に」という連絡が来ている。2団体王者のプライドをかけて、どこかで勝負にはくる。そこには、必然、井上のKOシーンが待っていることになるだろう。
会見では、史上最高額となる10年7億ドル(約1015億円)でドジャースと契約を結んで世界へ衝撃を与え早朝に入団会見を行った大谷翔平(29)に関しての質問も飛んだ。
「常にニュースで活躍を見るたびに、いい刺激を受けている。ただジャンルが違う。僕はボクシングで頂点を極めて、さらに上へ行けたら」
現在のプロスポーツで世界のトップで君臨している日本人アスリートは、井上と大谷くらいだろう。運命の1戦まで後10日。日本が誇るモンスターが、その拳で世界に衝撃を与える番だ。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)