「優勝できると本気で思っているのか?」英断か迷走か。鹿島の新監督にJリーグで優勝実績のないポポヴィッチ氏就任で賛否
鹿島アントラーズは21日、退任した岩政大樹前監督(41)の後任にFC東京やセレッソ大阪、FC町田ゼルビアなどを率いたセルビア出身のランコ・ポポヴィッチ監督(56)の就任が決まったと発表した。攻撃的なサッカーを志向し、日本での経験も豊富な新指揮官だが、J1の最高成績はFC東京時代の2013シーズンの8位。常勝軍団と呼ばれながらも7シーズン連続で国内タイトルから遠ざかっている鹿島の再建へ、ファン・サポーターの間では賛否両論が飛び交っている。
「攻守両面でアグレッシブかつ組織的な戦術」
英断なのか。それとも、さらなる迷走を招くのか。この日に発表された常勝軍団、鹿島の新監督がファン・サポーターの間で賛否両論を巻き起こしている。
今シーズン終了から一夜明けた今月4日に突然の退任が発表された、クラブOBでもある岩政前監督の後任に決まったのはポポヴィッチ氏。昨シーズンまで町田を率いた56歳の新指揮官は、8月に母国セルビア1部リーグのヴォイヴォディナ・ノヴィサド監督に就任。鹿島は違約金を支払った上で、来シーズンの新監督として迎え入れる。
オンラインでメディアに対応した鹿島の吉岡宗重フットボールダイレクター(FD、45)は「現在のクラブへの配慮もあり、発表がここまでずれ込んだ」と説明。その上で岩政前監督の退任発表と前後した時期に、方向性はすでに決まっていたと明かした。
「まずは戦術どうこうよりも鹿島らしさというか、最低限、出さなきゃいけない勝利への執着心や戦う姿勢、球際の強さ、切り替えの速さを求める監督でフィルターにかけ、攻撃面でどのようなアップデートができるか、という点もリサーチしていくなかで、最終的には攻守両面でアグレッシブかつ組織的にプレーできる戦術を落とし込める、というところでポポヴィッチ監督にオファーを出して、契約がまとまったという流れです」
実際にはセルビア発の報道で、ポポヴィッチ氏の名前が伝えられていた。しかし、鹿島のファン・サポーターの反応は歓迎とはほど遠いものだった。大分トリニータを皮切りに町田、FC東京、セレッソ、2度目の町田で指揮を執りながらも最高位がFC東京時代の2013シーズンの8位という点に不安を感じていたからに他ならない。
ポポヴィッチ監督の就任決定は、鹿島の公式X(旧ツイッター)でも伝えられた。ただ、投稿への返信には「決まったからには応援する」や「下馬評を覆してほしい」といったポジティブなものだけでなく、下記のようなネガティブなものも寄せられている。
「本当に来たか…途中解任とかにならない事を願うことしかできないのが無念」
「マジネタだったのか。鹿島、本当にルートないんだねぇ。他サポながら萎える」
「勝利する事で成長してきた過去の栄光を捨ててまで守りたいものは何?」
「鹿島ちょっと迷走気味感」
「ポポヴィッチでタイトル獲れると鹿島フロントは本当に思っているのか?」
「吉岡FDは『責任』という言葉を使う以上は進退をかけて欲しい」
吉岡FDは大分の強化部強化担当だった2009シーズンに、同年7月に途中就任したポポヴィッチ監督と仕事をともにしている。大分は最終的に17位でJ2へ降格したが、指導体制が変わった後は持ち直し、最後の10試合を5勝5分けと無敗で終えた。
「残念ながら就任前の成績が響いて降格しましたが、すごくプレッシャーがかかった状況で、短い時間のなかで戦術を落とし込み、非常に攻撃的でアグレッシブなチームを作ったのを私も直に見ていました。彼のやり方もわかっていますし、彼も私のことをわかっているので、いい相乗効果を生み出しながらチーム作りができると思っています」