「エストラーダを追ってバンタム級に上げることはしない」大晦日決戦を前に井岡一翔が明かしたKO決着とその先にある“野望”
また井岡が2度対戦した前WBA世界同級王者のジョシュア・フランコ(米国)の弟で2階級制覇王者のジェシー・ロドリゲス(帝拳/米国)が、凄まじい殴り合いを見せてIBF世界フライ級王者のサニー・エドワーズ(英国)を9回終了後棄権に追い込み、WBOとの2団体統一に成功。そのロドリゲスが、再びスーパーフライ級に上げて、エストラーダとの対戦を狙うという話まで出ていて、来年になれば、スーパーフライ級のチャンピオン絵図がどう変わっているかも予想できない。
「この階級で一番の評価、地位を確立したい。今(の時代のボクシング)はベルトだけの評価じゃない。その意味でエストラーダと戦って、この階級で一番強いということを証明したいという思いもあるけれど時間が、経つにつれて色んな状況は変わってくる。自分の考えも変わるし、状況に応じてやっていかねばならない。次の試合を終えて目指せるものがあれば、そこを目指したい」
ハッキリさせたのは、この階級に留まり“最強”を目指すという基本姿勢だ。
WBOは王者の中谷潤人(M.T)がベルトを返上。そのベルトを井岡が3年前にTKOで葬った田中が来年2月24日に両国で2位のクリスチャン・バカセグア(メキシコ)と争う。田中は「王者になって井岡選手にリベンジしたい」と再戦を熱望している。井岡は「そこまでの考えはない」としたものの「この試合に勝って、彼も勝って、お互いがこの階級のチャンピオンであれば可能性はなくはない」と完全否定はしなかった。
IBF王者のフェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)も一度は交渉を進めていた相手であり、エストラーダ戦が実現できなくとも、井岡が目標を見失うことはない。だが、その前にベネズエラから、はるばるやってくる挑戦者を公約通りのKOでキャンバスに這わせねばならない。
「僕も多くの先輩たちから力をもらって幼少期の頃から、ここまでやってこれた。次の世代の若い人たちにリングから世界王者として何か力だったり、日本人の強さだったり、勇気だったり感じ取れるものを伝えたいと思って戦う」
その覚悟を大晦日のリングでKOという形で見せる。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)