井上尚弥がKOに時間がかかった衝撃理由が判明…タパレスの当日体重はスーパーライト級だった…やっぱり怪物「苦戦」への反論は正しかった
見返した映像では、解説者の一人が「パンチがちょっと大振りじゃないか」と指摘するシーンもあった。
だが、それも意図的に放ったパンチだったことを明かした。
「しっかりとした狙いがある。そこからの打ち終わりへの返しだったり、それで相手へプレッシャーをかけたりとか、やっている本人にしかわからない小さい駆け引きがあった」
それが井上の言う目に見えない高度な技術戦の正体だった。
大橋会長は気になる今後の構想の一端を明かした。
「次の試合は、より大きな会場も考えてますし、サウジアラビアも考えています。ドーム?選択肢としてあります」
来年5月に東京ドームで元WBC世界バンタム級王者の山中慎介氏との2度にわたる対戦でドーピング疑惑、体重超過を犯し、“悪童”で知られる元世界2階級制覇王者のルイス・ネリ(メキシコ)とのビッグマッチが計画されている。
井上は、対戦相手として興味のあるボクサーとして、真っ先に元WBA&IBF世界同級王者で、12月16日のWBA挑戦者決定戦にTKOで勝ったムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)の名前を挙げて、2番目にネリ。そして、隣に座った大橋秀行会長に「カシメロはどうですかね?」と問いかけた。
バンタム級時代に一度はラスベガスでの対戦が決まりながら新型コロナウイルスの蔓延で中止となった問題児の元3階級制覇王者、ジョンリエル・カシメロ(フィリピン)だ。
計画されている東京ドームでのビッグマッチは「楽しみですよ。有明アリーナの数倍じゃないですか」と大歓迎。オイルマネーを背景に国家事業としてボクシングのメガファイトの誘致を次から次への仕掛けているサウジアラビアから開催オファーがあったことをトップランク社のボブ・アラム氏が明かしたが、「会場が変わるのは気持ちが新たに変わっていく大事なきっかけ」と井上も興味を抱く。サウジ開催となればファイトマネーは「ゼロがひとつ違ってくる。数十億規模になる」という関係者の話まである。
井上はリング上で適正階級のスーパーバンタム級に、来年、再来年と2年間、留まる構想を明かしていた。
「2年で6試合はやりたい。(会長には)来年は3試合やりたいと伝えている、だからこそ(最初は)5月」
2024年の1年で、一気に対戦相手として興味のあるネリ、アフマダリエフ、カシメロの3人を2024年にかたづけてしまうつもりなのか。
「階級アップの話もあるが、やっぱり一番強い井上尚弥を見せたいというのが自分のなかで強い」
自己採点は「苦戦しちゃったんで」と皮肉を交えながら「70点」に留めた。
「まだ30点の伸びしろがある」
実際に戦いながら感じた感覚と、映像を見直して俯瞰で感じた感覚を「融合させてより理想に近づけていきたい」という。1月中旬から再始動予定。モンスターはまだ最終形態まで変化していない。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)