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元WBC世界フライ級王者の比嘉大吾の肉体は見事にビルドアップされていた(写真・山口裕朗)
元WBC世界フライ級王者の比嘉大吾の肉体は見事にビルドアップされていた(写真・山口裕朗)

「2人との差をどう埋めるか」世界前哨戦に挑む比嘉大吾がバンタム級のトップ戦線に君臨する井上拓真&中谷潤人との対戦を意識

 大晦日に大田区総合体育館で行われる井岡一翔(34、志成)のセミファイナルでバンタム級10回戦に登場する元WBC世界フライ級王者でWBO世界バンタム級5位の比嘉大吾(28、志成)と対戦相手のWBC世界バンタム級5位のナワポン・カイカンハ(32、タイ)が30日、それぞれ前日計量をクリアした。比嘉にとっては世界前哨戦。バンタム級は、WBA世界同級王者が井上拓真(28、大橋)、来年2月24日には、元2階級制覇王者の中谷潤人(25、M.T)がWBC王座に挑戦するなど日本人ボクサーがトップ戦線に君臨しているが「彼らとの差を埋めるいい試合をしたい」との意欲を示し日本人対決を熱望した。

 対戦相手はタイの経験豊富な強豪世界ランカー

 世界王者への返り咲きを狙う比嘉にとって重要なノンタイトル戦だ。
「実力がある選手なんで、明日勝って、また次へ進められるようにしていきたい」
 比嘉は、5年前に体重超過でWBC世界フライ級王座から陥落、試合にも負けて無期限試合停止処分を受けた。その後、処分が解除され、階級を2つ上げて再起ロードを進み、WBOアジアパシフィックバンタム級王座を獲得したが、2021年4月に、故郷の沖縄で、現在IBF世界バンタム級王座への指名挑戦権を持っている西田凌佑(六島)に強打を空回りさせられて判定負け。世界再挑戦の手前でつまずいた。
 だが、あきらめずに再起。内容的には及第点とは言えない不完全燃焼の判定勝利が2試合続いていたが、この6月に元WBA世界フライ級暫定王者でWBA世界スーパーフライ級3位だったシリチャイ・タイイェン(タイ)に4回KO勝利。ボディショットで、計4度のダウンを奪う快勝で、かつて15試合連続KOの日本タイ記録を作った剛腕が蘇っていた。そして、今回は、さらにレベルの高い世界ランカーが相手。元WBC世界バンタム級王者のウィラポン・ナコンルアンプロモーションらを輩出したタイの名門ジムが送りこんできた“刺客”である。
 カイカンハは、元WBC世界スーパーフライ級王者、スリヤン・ソールンビサイ(タイ)の弟で、62戦58勝(48KO)3敗1分の豊富なキャリアを持つ。
 5年前には、井岡一翔に土をつけたアムナット・ルエンロエン(タイ)に5回TKO勝利している。昨年10月には、WBO世界バンタム級王者となる前のジェイソン・マロニー(豪州)と対戦して12回判定負け。今年8月には、WBC世界バンタム級挑戦者決定戦で、マーロン・タパレス(フィリピン)のスパーリングパートナーを務めたビンセント・アストロラビオ(フィリピン)に11回TKO負けを喫したが、バンタム級の世界王座を狙う位置にいる実力派。手数が多くディフェンスも固く一発のパンチ力もあり簡単な相手ではない。
 フェイスオフが終わった後の記者会見では、カイカンハが「顔が怖かった」と印象を語り、比嘉が「心は優しい人なんで」と返して会見場をなごませたが、試合では、壮絶なファイトが予想される。
「いい勝ち方をするのが大前提。この試合に向けてやってきた練習を全部出して、いい試合、いい結果で終われるようにしたい。いい勝ち方をしないと“(世界挑戦は)厳しいな”となる」
 比嘉は、そう決意を語った。

 

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