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ミスタータイガースこと掛布雅之氏はわずか2票足らずに殿堂入りならず(写真・黒田史夫)
ミスタータイガースこと掛布雅之氏はわずか2票足らずに殿堂入りならず(写真・黒田史夫)

「江川卓は?」なぜ“ミスタータイガース”掛布雅之氏はわずか2票届かずに殿堂入りを逃したのか?

 2人はユニホームを脱ぐタイミングも似ていて江川氏は、1987年に32歳で電撃引退。そして翌年に今度は掛布氏が33歳で引退した。
 江川氏は、殿堂入りの資格を得た1993年に候補者に入ったが、得票はわずか1票で、当時、誰が江川に入れたか?が話題となった。取材歴15年以上の委員に投票権があるため、空白の1日を知るメディアに毛嫌いされた。 
 沢村賞の選考に漏れた際にも「人格」が問題視された。結局、江川氏は、3年間、候補者リストに入っていたが、まったく票が伸びずに4年目から候補者から外されて、以降、一度も復活していない。
 現在、エキスパート表彰に規定はないが、プレーヤー表彰では、第17条(投票)に「得票率が、有効投票数の 3%未満の場合は、次年以降プレーヤー表彰の候補者となることはできない」とある。当時はまだプレーヤー表彰とエキスパート表彰に分かれていなかったが、得票率の低い候補者は殿堂の競技者表彰委員会による候補者選びの段階で落とされる傾向にあった。 
 また野球殿堂入りには明確なガイドラインはないが、表彰委員会規程の「選考の要件」として、次の4つが明記されている。

「(1)試合で表現した記録、技術が優れている者 (2)所属チーム及び野球の発展に顕著な功績をあげた者 (3)野球に対し誠実であり、スポーツマンシップを体現した者 (4)ファンに野球の魅力を伝えた者 なお、完全試合の投球、未曽有の長距離本塁打、単年度の大記録、実働が短期間での活躍等をもって、野球殿堂入りとして選考してはならない」

 おそらくではあるが、江川氏は(3)のスポーツマンシップを体現した者にあてはまらないと判断されているのだろう。
 掛布氏もプレーヤー表彰では、数年間、候補者に入っていたが選ばれず、2016年、2017年と2年間、金本知憲監督に請われて阪神の2軍監督を務めたことで2018年からエキスパート表彰で候補者として復活した。掛布氏は、実働15年で、通算1656安打、349本塁打の記録を積み重ね、本塁打王を3度も獲得しているが「通算記録としては物足りないのではないか」との議論もある。
 ただ実働が6年で3冠王2度、歴代最高打率となる.389を残していたバース氏は、もろに「単年度の大記録、実働が短期間での活躍等をもって野球殿堂入りとして選考してはならない」の「選考の要件」にあてはまっていたにもかかわらず、前年度に事実上、初の外国人選手としての殿堂入りを果たしている。
 監督、コーチとしてユニホームを着る機会がない限り江川氏が、再びエキスパート表彰で候補者入りすることは難しいのかもしれないが、さすがにわずか2票の“大リーチ”をかけた掛布氏は、来年度こそ殿堂入りすると見られているが…果たして…。

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