辰吉ジュニアは「天心がKOできなかった男」を倒せるのか…“カリスマ”父のバンタム級への転級視野
今回の契約体重は、本来主戦場だったスーパーバンタム級の55.34キロのリミットより下の54.5キロ。それを辰吉は300グラムアンダーでクリアした。バンタム級まで残り700グラム程度。もちろん今後のバンタム転級を見据えてのものだ。
吉井寛会長が言う。
「もちろんこの試合の結果次第だが、今年中には(日本&地域)タイトルを狙いたい。スーパーバンタム級だけでは、チャンスが限られてくるので、今回バンタム級を視野に入れた体重でお願いした。まだまだ先の話だけど、そもそもスーパーバンタム級は井上選手がおる階級ですからね。今回の減量を見る限りバンタム級でいけると思う。これから先、バンタム級には日本人の強いボクサーが集まっていて面白くなりそう」
日本ランキングから落ちている辰吉が、今世界を語っても笑われるかもしれないが、スーパーバンタム級には、2階級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)が君臨しており、日本王者の下町俊貴(グリーンツダ)も苦手とするサウスポー。もし階級を下げることが可能ならば、バンタム級に戦いの場を移すのが賢明だろう。しかも、バンタム級は、父が緑のベルトを取った辰吉家とは縁の深い階級。
辰吉も「頑張ったら落とせますよ」と言う。
「親父がバンタムだったので。バンタムっていう名前にこだわりはあるかも」
バンタム級は、WBA同級王者が井上拓真(大橋)で、2月24日には元2階級制覇王者の中谷潤人(M.T)がWBC王座に挑み、WBOアジアパシフィック同級王者の西田凌佑(六島)もIBF王座への指名挑戦権を持っているなど、群雄割拠の階級。天心もしかり、さらに元K-1王者の武居由樹(大橋)、元WBC世界フライ級王者の比嘉大吾(志成)、日本バンタム級王座を返上した堤聖也(角海老宝石)、WBAの指名挑戦者でもある石田匠(井岡)らが控えている。
辰吉が、そのバンタム級バトルに参戦するには、タイトルが必要。与那覇戦の先に見据える当面のターゲットは、空位となった日本バンタム級王座の新王者などの地域タイトルになるだろう。
「もちろんチャンスがあればいつでもいけます」
その意味でも重要な与那覇戦。辰吉は“勝ち飯”としてカリスマの父親ら辰吉ファミリー勢ぞろいで、いつもの焼肉屋を訪れたという。