なぜ阪神の“3冠”村上頌樹は横浜DeNAに3回5失点KOされたのか…ピーキングのミスとシュート回転してしまっていた魔球
だが、そこには危険な落とし穴があった。
「どこかで一回落ちるやろ」
岡田監督は、そう見ていたが、あまりにも仕上がりが早すぎたため、オープン戦の終盤に調子の波が底になってしまったのだ。3月19日のソフトバンクとのオープン戦の最終登板も11安打を浴びて8失点。制球も悪く得意のストレートも動かず、OBで評論家の池田親興氏は、「制球がぶれている。疲労の蓄積もあって今が調子のドン底なんだろう。調子が悪いのに強いボールを投げようとするので体が開きフォームのバランスを修正できない。あと1週間で調子を上向きに修正できるかどうかは疑問」という話をしていた。
いわゆるピーキングの失敗。それでも悪いなりにゲームを作る力量が村上にはあるが佐藤のミスで立ち直りのきっかけさえ失った。
前出の阪神OBは、「ローテーの軸に考えていた村上を簡単に外すわけにはいかないだろう。中6日の調整と試合に登板していく中で今が底の調子を上げていくしかない。調子さえ取り戻せば問題はないと思うが、その中で本来の形がバラバラになるのが怖い」との見通しを語る。村上が事実上の2年目のジンクスにはまれば阪神のV構想はガタガタになる。
阪神はただ一方的に殴られていたわけではない。
1回裏に1、2番コンビで1点を返し、7回には木浪の1号、8回には近本の二塁打を皮切りに中野が走者を進め森下の内野ゴロでもう1点を返して2点差に詰め寄った。9回には“日替わり守護神”の1人、山崎からノイジー、代打前川の連打で一死一、二塁のチャンスを作り、横浜DeNAベンチを沈黙させた。木浪がボール球に手を出し、代打原口がバットを折られてゲームセットを迎えたが、最後まであきらめない姿勢は見せた。
また8回からマウンドに立った“秘密兵器”の門別が、走者を出しながらも2イニングを無失点に抑え、いつでも不調の村上の代役を務めることができる存在感を示した。
今日3日の第2幕は、対横浜DeNAに通算防御率1.80と相性のいい左腕の伊藤将と、同じく左腕の濱口というマッチアップ。伊藤も村上と同じくオープン戦で調子が上がっていなかったのが不安材料だがゲームは作る。中継ぎ陣が追加点を許さず、打線も最後に粘りを見せた。岡田監督はその流れを勝利につなげたいと考えている。