なぜRIZINで平本蓮はYA-MANとの因縁マッチに判定勝利できたのか…榊原CEOは今年上半期に朝倉未来戦の実現を約束
最終RではYA-MANが一発逆転を狙って愚直にパンチを繰り出すも、いざという場面で平本がテイクダウンを取って流れをわたさない。KOではなく判定による決着を、平本は「この試合だけはマジで勝ちたかったので」と素直に受け入れた。
「ちょっとしょっぱくなっちゃったけど勝ちに徹した。初めて自分から寝かしにいったなかで、乳酸値もすごくたまった。初めての経験だったんですけど、こういう経験をどんどんクリアしていって、MMAファイターとして進化していけたらいいなと」
平本が内容よりも結果にこだわったのは、リングサイドで朝倉未来が観戦していたからだ。SNS上などで挑発を繰り返した結果、一時は朝倉未来側から法的措置を取るとまで示唆された平本は、いまでは一転して朝倉未来に憧憬の念を抱いてきたと公言してはばからない。
執拗に絡んだのも、朝倉未来と戦う機運を盛り上げるための演出。YA-MANとの対戦が発表された昨年末の会見では、2024年を見すえてこんな言葉も残していた。
「もう朝倉未来と煽り合う必要もない。あいつの敵討ちとかではなく、YA-MANに勝てば来年、おのずとあいつとの試合が見えてくると思う」
こうした流れを榊原CEOも的確にキャッチ。鉄は熱いうちに打て、とばかりに今年前半でのマッチメイクもあるとほのめかした。
その平本は左手にヒビが入った可能性があると試合後の会見で明かしながら、朝倉未来の眼前で収めた勝利をこう振り返った。
「YA-MANと打ち合いになったら危ないと言われていたけど、打ち合いになっても自信があった。朝倉未来にはできないボクシング技術を見せられました」
自身の知人や恩人らも揶揄した平本を、対戦前から「心の底からボコボコにしたい」と憎悪の炎を燃やしていたYA-MANは、判定負けを喫した直後にリング上で突っ伏して号泣した。そこへ寄り添った平本は、背中に手を当てながら何かをつぶやいている。
「俺の勝ちって言いました」
こんな言葉で会見場を驚かせた平本は、さらにこう続けている。
「まあまあ、終わったらもうノーサイドなので。YA-MANの気持ちも本当に強かった。胸を張って頑張れよ、という感じですね」
もっとも、平本が言及したノーサイドというラグビー用語も、もともとはYA-MANが大晦日の対戦が終わっても犬猿の仲は一生続く、という意味を込めて否定していたものだ。いったいどこまでが本気なのか。つかみどころのなさを漂わせる平本は、「リップサービスも何もない。ただただ努力して強くなる」と優等生発言とともに2023年を締めくくった。