明日号砲!箱根駅伝に「山の神」は降臨するのか…区間新バトルへの期待
年始に行われる国民的行事「第100回箱根駅伝」では過去に多くのドラマを生んだ1月2日の5区通称“山”で大激戦が起こりそうだ。往路のアンカーとなる5区は、標高約840mを一気に駆け上がる超難所。勝敗のカギを握る区間でもある。
筆頭候補が前大会で区間新を出した城西大の山本唯翔だ
順大・今井正人、東洋大・柏原竜二、青学大・神野大地…。今なお語り継がれる「山の神」…。今大会も「山の神」候補たちが1月2日の本番を見据えている。
その筆頭といえるのが、前回大会で1時間10分04秒の区間新記録を樹立した城西大・山本唯翔(4年)だ。今季は夏のワールドユニバーシティゲームズ10000mで銅メダルを獲得すると、出雲駅伝と全日本大学駅伝は最長区間を好走。「山の妖精」と呼ばれた前回からさらに力をつけた印象だ。
山本は豪雪地帯で知られる新潟県十日町市出身で、小学生の頃から山道を走るのが好きだったという。場所柄、幼少期からクロスカントリースキーをしてきたこともあり、接地時間が長く、脚を伸びやかに繰り出すフォームが特徴だ。
エースとして花の2区で勝負したい気持ちもあるが、現行コースに近い5区で1時間09分12秒を叩き出した順大・今井の動きを動画で研究。最後の箱根は5区で〝神の領域〟に挑むことになりそうだ。
前回は途中で脚がケイレンしてペースを落とすなど、100点満点の走りではなかっただけに、「今井さんの記録を越えて『山の神』になりたい」と山本。妖精から神へ、進化するつもりでいる。
山本にとって強力なライバルになりそうなのが、創価大・吉田響(3年)だろう。前々回大会は東海大の5区を務めて、1時間10分44秒の区間2位。無名のルーキーは17位でタスキを受け取ると、芦ノ湖のゴールに10位で飛び込んだ。
昨季は全日本と箱根の予選会を好走して、チームに大きく貢献。前回の箱根は5区で「1時間10分切り」を目標に掲げていたが、エントリーメンバーに入ることはなかった。そして今年2月に東海大の陸上競技部を退部した。
一時は競技の夢をあきらめかけたが、同じ静岡県出身の創価大・瀬上雄然スカウト編成部長から声をかけられ、転入を決意。吉田に笑顔が戻った。
今季は大きな故障もなく、トレーニングを継続。8月の月間走行距離は1000㎞を突破した。そして駅伝シーズンで快走を連発する。
10月の出雲は5区で区間記録に2秒差と迫る好タイムで区間賞。11月の全日本も5区で爆走する。区間記録を29秒も更新すると、区間2位に38秒差をつける圧倒的な区間トップで突っ走ったのだ。文字通り〝5区のスペシャリスト〟になっている。そして2年ぶりとなる箱根は区間記録の更新だけでなく、「山の神」と呼ばれる大活躍を誓っている。
「箱根駅伝も5区で区間記録(1時間10分04秒)を塗り替えて、学生駅伝の区間賞を総なめできるように頑張っていきたいです。できれば1時間08分45秒ぐらいは出したいですね」