明日号砲!箱根駅伝に「山の神」は降臨するのか…区間新バトルへの期待
王者・駒大は前回5区を区間4位(1時間10分45秒)で駆け上がった山川拓馬(2年)の出走が濃厚。「今年はBチームからAチームになって、スタミナもスピードもつきました」と成長を実感しているだけでなく、出雲は3区で区間3位、全日本は8区で区間賞と主要区間で結果を残した。
「山の神候補もいて、メンツが揃っているので、最低でも
1時間10分切りを目標に、区間新記録となる1時間09分、08分も目安にしています」と意気込んでいる。
山本、吉田、山川は平地のキャリアも十分。この3人を軸に5区は区間賞争いが繰り広げられるだろう。しかも、駒大はダントツの優勝候補で、城西大と創価大は往路優勝を狙っているチーム。首位争いに役者が揃い踏みして、箱根駅伝史上〝最高の山バトル〟が見られるかもしれない。果たして区間記録(1時間10分04秒)をどこまで塗り替えることができるのか。
青学大は前々回の5区を区間3位と好走している若林宏樹(3年)が準備を進めているだけでなく、今季の駅伝で大ブレイクしている黒田朝日(2年)も候補に挙がっている。原晋監督は「1時間10分前後」を想定しているが、黒田が走ることになれば先に挙げた3人と同レベルの戦いが期待できるだろう。
総合優勝を目指す大学では、中大は前回区間3位の阿部陽樹(3年)、國學院大は同7位の伊地知賢造(4年)という5区の経験者がいる。しかし、ともに平地にまわすプランを持っており、今回は新たな選手が山に挑む可能性が高い。その場合、中大・藤原正和駅伝監督は「1時間11分前後」、國學院大・前田康弘監督は「1時間11分切り」を計算している。指揮官の目論見通りになれば区間上位候補になるはずだ。
早大・伊藤大志(3年)は2年連続で5区を担い、前々回が区間11位、前回が区間6位(1時間11分49秒)。3年連続の出走となれば、過去の経験を生かして、区間上位で走ることができるだろう。
3年連続の5区を予定している国士大・山本雷我(4年)も面白い。前々回は
区間13位、前回は同11位。今季は故障の影響もあり、全日本大学駅伝を欠場した。しかし、〝仮想5区〟として箱根駅伝出場校が多く出場した11月18日の激坂最速王決定戦(登りの部)で優勝。調子を上げてきており、最後の箱根は主将として快走が期待されている。他に激坂最速王決定戦で山本と8秒差の2位に入った山梨学大・弓削征慶(2年)、東海大の5区候補に挙がっている南坂柚汰(1年)にも注目したい。
かつて「天下の険」と呼ばれた箱根の山。現在は〝ヒーローへの階段〟になっている。わずか1時間ちょっとで人生が大きく変わることもある。第100回大会はとびっきりのヒーローが誕生しそうだ。
(文責・酒井政人/スポーツライター)