井上尚弥が大谷翔平の7億ドル(約994億円)を超える日は来るのか…5月に東京ドームで“悪童”ネリ戦、年内サウジ興行のプラン
プロボクシングで史上2人目の2階級4団体制覇をスーパーバンタム級で達成した井上尚弥(30、大橋)が勝負の新年を迎えた。5月には東京ドームで元2階級制覇王者でWBCの指名挑戦者でもある“悪童”ルイス・ネリ(29、メキシコ)とのビッグファイトが計画されており、年内にはサウジアラビアでの興行でメインを張る可能性もある。プロスポーツで日本人として世界のトップを走るのは、井上とドジャースに10年7億ドル(約994億円)の契約で入団した一つ年下の大谷翔平(29)の2人だろう。年に2、3試合しかできないボクシングと年間162試合を戦うメジャーリーグでは、サラリーが違うのも当然だが、年俸で言えば、かつて世界の長者番付けのトップを飾ったのはボクサーだった。井上のファイトマネーは1試合で数億円規模とされているが、いつか大谷の7億ドル(約994億円)を超える日は来るのだろうか。
「大谷の活躍をニュースで見る度に刺激を受けている」
ジャンルが違えど世界の頂点を極めた2人だ。
井上は昨年12月26日に“曲者”のWBAスーパー&IBF世界スーパーバンタム級王者マーロン・タパレス(フィリピン)を10ラウンドKOに仕留め、史上2人目となる2階級4団体制覇の偉業を成し遂げた。大谷は昨季2度目のMVPを満票で受賞、FAとなり、ドジャースと10年7億ドル(約994億円)のメジャー史上最高額となる契約を結び、世界を驚かせた。
そのニュースを知った井上は、こう感想を明かした。
「常にニュースで活躍を見る度に刺激を受けている。ジャンルは違うけれど、僕はボクシングで頂点を極めて、さらに上へいけたらと、いい刺激を受けている」
実は2人には接点はある。
2018年12月のプロスポーツ大賞の表彰式で同席したのである。大谷が大賞で井上が殊勲賞&NHK賞。控室では大谷が「一度試合を見に行かせてください」とリクエスト。もちろん井上も快諾したが、なかなかタイミングが合わずにまだ実現していない。大谷は井上の一歳下だが、世界のトップを極めた日本人アスリートとして、互いに相通じるところがあったのだろう。
昨年12月に大谷が世界一になることを求めてドジャースに移籍。井上も、さらなるステージに一歩足を踏み出した。常に前を向き、向上心を失わないところも共通点だ。
井上はタパレスを倒した一夜明け会見では、自己採点を70点とし「まだ30点が伸びしろがある。一番強い井上尚弥をお見せしたい」という話をしていた。
プロアスリートの価値をサラリーで評価することは正しくはない。いささか下世話かもしれないが、世界のトップに君臨する井上が大谷の10年7億ドル(約994億円)を超えることができるのかを考察してみた。
大谷の7億ドル(約994億円)は驚異的な数字だ。野球界だけではく、サッカー界のスーパースター、リオネル・メッシが、かつてバルセロナと結んだ4年5億5500万ユーロ(約860億円)さえ抜いたのである。
対するプロボクシングの世界では年間にできる試合数は、多くて3試合。複数年契約もあるにはあるが、プロ野球とは違い、危険を伴う対面競技であり、対する野球選手は、年間162試合を戦うのだからサラリーが違ってきても当然ではある。だが、年俸に換算するとプロボクサーも負けていない。大谷は97%を後払いにしているので、実質の年俸は200万ドル(2億8400万円)だが、本来、受け取れるのは7000万ドル(約99億円)。だが、米経済誌「フォーブス」が発表している2023年の長者番付けでは、スーパーミドル級の4団体統一王者であるサウル“カネロ”アルバレス(メキシコ)が1億1000万ドル(約156億円)で5位に入るなど年俸で見れば、プロボクサーが上回る。過去には2015年に無敗の元5階級制覇王者のフロイド・メイウェザー・ジュニア(米国)が3億ドル(約426億円)を1年で稼いで世界のアスリートで1位になったこともある。
大橋会長も「ボクシングではメジャーリーグと違って10年契約みたいなことはないが、年俸でいえば負けていない。かつてメイウェザーとかが簡単に100億円を超えていたわけだからね。そう考えると、尚弥が大谷を超える可能性だってあるかもしれない。それがボクシングの力」と夢を語る。