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箱根駅伝復路でゴールする青学大の宇田川瞬矢を迎える原晋監督ら(写真・日刊スポーツ/アフロ)
箱根駅伝復路でゴールする青学大の宇田川瞬矢を迎える原晋監督ら(写真・日刊スポーツ/アフロ)

箱根駅伝Vの青学大に原監督がかけた“魔法”は何だったのか?投入したアディダスの超軽量厚底シューズと“勝利のメソッド”…黄金期再到来の予感裏に“違和感”も残す

 黒田と太田の爆走にはアディダスの〝新兵器〟が影響しているかもしれない。今大会、青学大のダブルエースのみ、昨年9月のベルリンマラソンでティギスト・アセファ(エチオピア)に2時間11分53秒という驚異的な女子の世界新記録をもたらした『アディゼロ アディオス プロ エヴォ 1』を履いていのだ。
 同シューズはフルマラソン1回分(ウォーミングアップを含む)の着用を目安に設計された約138g(27cm)しかない超軽量厚底レーシングモデル。税込8万2500円という超高額モデルで、昨秋に限定抽選販売された。現在は完売しているが、大手フリマサイトでは倍以上の値段で取り引きされている。
 青学大と同じくアディダスとウエアサプライヤー契約を結んでいる國學院大にもエース平林清澄(3年)用に同社から1足分の提供があったという。しかし、平林は慣れ親しんでいる『アディゼロ タクミ 9』というモデルで2区に出走した。
 國學院大・前田康弘監督は、「平林は使用しませんでしたが、青学大のふたりは迷わずに新モデルを使った。高性能のシューズをうまく使いこなせた部分も(快走の要因)としてあるんじゃないでしょうか。特に太田君の走りは衝撃ですよ」と話していた。

 青学大はとにかく箱根駅伝に強い。2015年から4連覇を飾ると、その後は隔年で優勝。この10年間で7度の栄冠に輝いている。学生長距離界が激化している時代に凄まじい〝勝率〟だ。
 しかも今回のVメンバーのうち1区荒巻朋熙(2年)、2区黒田、3区太田、5区若
林宏樹(3年)、6区野村、8区塩出、10区宇田川の7人が残る。3年生以下の5000m13分台は14人いて、春には有望ルーキーたちが入学予定。青学大は今後も箱根駅伝で勝ち続けることになるだろう。
 しかし、青学大の大活躍に〝違和感〟もある。箱根駅伝で無双しながら、これまで五輪・世界選手権の日本代表には誰も選ばれていないのだ。
 一方、学生駅伝で青学大のライバルといえる駒大はこの10年間だけでも、東京五輪の男子マラソン代表に中村匠吾(富士通)を送り込むと、世界選手権の男子マラソンは3大会連続でOBが出場中。田澤廉(現・トヨタ自動車)は大学4年時にオレゴン世界選手権10000mに、佐藤圭汰は昨夏のアジア大会5000mに出場している。現在も大八木弘明総監督がSチームの佐藤、鈴木芽吹(4年)、篠原倖太朗(3年)を指導。OBの田澤も母校を拠点にトレーニングを積んでいる。11月25日の八王子ロングディスタンス10000mでは佐藤が日本人学生歴代2位の27分28秒50、鈴木が同3位の27分30秒69、篠原が同5位の27分38秒66をマーク。箱根駅伝だけでなく、世界を見つめて〝高い意識〟で取り組んでいる。

 

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