高校サッカーの逸材
高校サッカーの逸材

高校サッカー「覚えておいて欲しい5人の逸材」

 新春のスポーツ界を彩る風物詩のひとつ、第102回全国高校サッカー選手権大会は今日4日に首都圏の2会場で行われる準々決勝を経て、国立競技場で行われる6日の準決勝へ進む4校が決まる。昨年末の1回戦から熱戦を繰り広げてきた出場48校の選手たちのなかから、記憶にとどめておきたい5人の次世代ヒーロー候補をピックアップした。

 U17W杯で存在感を示した高岡伶颯

 

【高岡伶颯】[宮崎・日章学園2年/FW/165cm ・59kg]
 小さな体に搭載された稀有なスピードと決定力。高岡伶颯(れんと)が世界を驚かせたのは、昨年11月にインドネシアで開催されたFIFA・U-17W杯だった。
 グループリーグ3試合で4ゴールをあげて、日本をベスト16進出へ導いた。ポーランドとの初戦で途中出場からわずか7分後に決勝弾をゲット。1-3で敗れたアルゼンチンとの第2戦で一矢を報いる一発を決めると、0-0で迎えた後半10分から途中出場したセネガルとの最終戦でも17分、27分と立て続けにゴールを決めた。
 圧巻はセネガル戦の2点目。スピードを生かしてバックパスへ一気に詰めて、GKからボールを奪い取って無人のゴールへ流し込んだ。昨年3月に初めてU-17代表入りした無名の少年が、日本のグループリーグ全得点を叩き出した。
 大きな注目を集めた新星は、次の照準を今大会の上位進出に定めた。しかし、昨年末の1回戦で名古屋(愛知)にPK戦の末に敗退。チーム最多の3本のシュートを放つも無得点に終わり、2番手を務めたPK戦でも止められた悔しさをバネに、最後の1年へ向けて「チームを勝たせられる選手になりたい」とリベンジを誓っている。

【碇明日麻】[熊本・大津3年/MF/186cm・70kg]
 3年連続で出場した全国高校サッカー選手権で、準優勝した2年前はボランチ、ベスト4入りした昨年には高さを生かしてCBでプレー。今大会ではキャプテンを務める碇(いかり)明日麻は、チームの得点力不足を補うために最前線で体を張ってきた。
 MF登録ながら2トップの一角を託され、優勝候補・昌平(埼玉)と激突した2日の3回戦では2アシストをマーク。高さを駆使して周囲を生かすプレーで2度のリードを奪うも、その度に追いつかれて最後はPK戦の末に涙をのんだ。
 Jクラブのユースも挑む高校年代最高峰の舞台、高円宮杯U-18プレミアリーグでは20ゴールをあげて得点王になった。しかし、卒業後はユーティリティーぶりを封印し、本職と自負するボランチに絞って勝負する青写真を描いている。
 目指す理想像はサイズと足下の技術を兼ね備え、かつゴールも奪えるボランチ。複数のJクラブが獲得に乗り出していたなかで育成力に長け、練習環境も充実させているJ2の水戸ホーリーホックをプロの出発点に選び、「自分の特徴である高さや両足のシュート、サイドチェンジといったプレーに磨きをかけていきたい」と意気込んでいる。

【尾野優日】[神奈川・日大藤沢3年/DF/178cm・68kg]
 年代別の日本代表に選出された経験はない。それでも、チームがベスト4に進出した昨夏のインターハイで大会優秀選手に名を連ねた尾野優日(ゆうひ)は、水戸で第一歩を踏み出すプロの世界へこんな抱負を語っている。
「サイドバックの常識を変える攻撃的なプレーを見せていきたい」
 横浜F・マリノスのジュニアユースでは2列目を主戦場としていた。しかし、左利きという特徴を見込まれて左サイドバックに転向した日大藤沢で、それまでの武器だった縦へのドリブル突破をそのまま生かしながら一気に頭角を現した。
 潜在能力の高さは、水戸の西村卓朗GMの言葉にも反映されている。
「常にボールを前へ運べる攻撃的な選手であり、運動量も豊富で激しく上下動ができる。相手選手と1対1になった際には果敢に仕掛けられるアグレッシブな性格と技術を持ち合わせていて、強気な性格もプロに向いている」
 上位を狙った今大会は、大晦日の2回戦でPK戦の末に近江(滋賀)に敗れた。PK戦で4番手を担い、成功させたレフティーは「誰にも負けない自分の強みを磨いていきたい」と、貴重な左利きの左サイドバックとしてさらに成長すると前を見すえている。

 

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