ソフトバンクの山川穂高は“逆風”を乗り越えて優勝への戦力になれるのか?
ソフトバンクに詳しいOBで評論家の池田親興氏は、「ケガを負った1年のブランクではないので問題はないと思う。バッシングというメンタルに影響を与える部分を除けば、移籍することのプラス材料の方が多くある」という見解を述べた。
「ベルーナドームは、夏は暑く、春先は寒く、選手にとってはコンディション維持が難しい球場だ。しかも球場の立地が悪く、選手が球場の往復に使う時間や、移動に対する手間が多い。空調の効いているペイペイドームならば、山川がパフォーマンスを発揮しやすい環境を1年中キープできる。どこに住むかは知らないが、球場往復に使う時間などもかなり短縮されるだろう。またペイペイドームにはホームランテラスもあり、本塁打が増える条件は揃っている。同じパ・リーグの移籍で対戦投手に対する戸惑いもない」
打率.266、41本塁打、90打点の成績だった2022年は、ペイペイドームで打率.333、5本塁打、16打点の数字を残した。球場別で見ると、打率は楽天モバイルに続く2位、本塁打はベルーナ、楽天モバイルに続く3位、打点はベルーナに続く2位の成績で相性がいい。
池田氏は、「右の強打者がいなかったため、左投手に苦労していた印象があるが、山川が4番に入れば、近藤2番、柳田3番、あるいは山川を近藤と柳田の間に挟むなどのジグザグ打線を組めて対応の幅が広がる。山川の長打を警戒して四球が増えれば、前後への波及効果も大きいだろう」と、チームへの波及効果も期待できると見ている。
池田氏が指摘するように今季はオリックスの宮城に防御率1.80、1勝2敗、日ハムに移籍した山崎福に同2.53、1勝2敗、田嶋に同3.60、1勝3敗と、左腕トリオに負け越した。だが、左腕アレルギーも山川の加入で解消される可能性が出てきた。
また今季のソフトバンク打線は、チーム得点536がリーグトップで、本塁打数104が2位タイ、打率.248が2位と強力ではあったが、来季はリーグで抜け出た存在になるかもしれない。
池田氏は期待を込めて山川の来季の数字をこう予想する。
「40本、100打点はいってほしいし、いけるのではないか。その数字が上乗せされれば、打線はかなりの破壊力となる」
問題は、重圧やしばらくやみそうにない批判や非難をどう乗り越えていくかだろう。自分で蒔いた種ではあるが、山川は新天地で試練の一歩を踏み出すことになる。
(文責・RONSPO編集部)