F1角田裕毅は2024年にレッドブルへ移籍できるのか…結果を求められる勝負の4年目
もちろん、そのような状況でも前を走っているのが、同等レベルのマシンならトライする価値はあっただろう。しかし、マクラーレンは2023年に何度も表彰台を獲得し、コンストラクターズ選手権で4位となったチーム。同選手権8位のアルファタウリにとっては格上だったことを考えると、やはりあの場面はもっと慎重に戦うべきだった。
2024年の角田には、これまで以上に判断力が求められることになるだろう。
その走りに注目しているのは、所属するチームだけではない。姉妹チームであるレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表とヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)も注視している。
角田が所属しているアルファタウリは、その前身のトロロッソ時代からほとんどのドライバーが4年以上とどまったことはなかった。その理由は期待していた結果を残すことができなかったこともあるが、期待以上の成績を出せば、トップチームであるレッドブルへ移籍するからだ。4度王者に輝いたセバスチャン・ベッテルや現在3連覇中のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、トロロッソでの活躍が認められて2シーズン後にはトップチームであるレッドブルへステップアップしていた。
数年走っても、レッドブルへ昇格するだけのパフォーマンスを発揮できなければ、このチームはドライバーを入れ替えてきたという伝統がある。そして、レッドブルとアルファタウリにはリアム・ローソンというリザーブドライバーが待機している。したがって、角田が2024年にレッドブルへ移籍するだけのパフォーマンスを発揮できなかった場合、レッドブルの首脳陣は角田に「これ以上、伸びしろはない」と判断し、ローソンにチャンスを与える可能性が考えられる。
2024年に4年目を迎える角田に求められるのは、チームメートのダニエル・リカルドを上回ることはもちろん、レッドブルへ移籍するに相応しいだけの走りと結果ということになる。
つまり、角田に用意された2024年のステージは、これまで以上に高くなっている。そのステージに上がることができれば、レッドブルへ移籍する可能性もある。しかし、もし上がることができなければ、5年目はないかもしれない。まさに正念場のシーズンとなるだろう。
(文責・尾張正博/モータージャーナリスト)