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西武のFA山川穂高の人的補償としてソフトバンクのベテラン左腕和田毅の名前が取り沙汰された(写真・アフロ)
西武のFA山川穂高の人的補償としてソフトバンクのベテラン左腕和田毅の名前が取り沙汰された(写真・アフロ)

「ゴネ得がまかり通るっておかしくない?」SNSでファン混乱…「和田毅」が浮上して「甲斐野」で決着したFA山川穂高の西武“人的補償騒動”は一体何だったのか?

 SNSやネット上では、ソフトバンクファンの「安心した」などの意見が多数寄せられたが、それと同時に「いったい何だったの?」「裏で何かがあったんじゃないのか」との疑問の声が飛び交い、さらに混乱に輪をかけることになった。
 ソフトバンクの斉藤和巳4軍監督がインスタに「反応の違いがあからさまやな。そういうのあまり好きじゃないね」「ことの真相も気になるけどね」と投稿したが、「和田なら許さず」「甲斐野ならOK」というファンの反応や、今回の騒動が起きた背景へ疑念を抱く意見も少なくなかった。
 では、和田指名の情報は誤報だったのか。複数の関係者の話を総合すると、和田が28人のプロテクトから外れ、西武が和田を指名候補の一人として検討していたことは事実のようで、両球団間で“交渉”が行われた結果、甲斐野で決着したようだ。日刊スポーツが報じた時点での情報としては間違っていなかったことになる。
ここからは、あくまでも推測だが、あまりにも大きいファンの反発にソフトバンク側があわてふためき西武に泣きついたのだろう。
 元来、FAの人的補償として指名された選手に拒否権はなく、もし移籍を拒否した場合はFA規約により資格停止選手となり、金銭補償に替えられる。つまりルール上は、選手の指名が白紙に戻ることはないのだが、これまでも、舞台裏で人的補償を巡って球団間に“交渉”が存在しているのは、各球団の編成担当の間では周知の事実だ。
 有名なのは中日の岩瀬仁紀の拒否騒動。2017年オフに中日がFA宣言した日ハムの捕手の大野奨太を獲得。日ハムは、人的補償にプロテクトから漏れていたレジェンドストッパーの岩瀬を指名することを打診したが、岩瀬が移籍を拒否。実行されれば引退することさえ示唆したため、日ハムは方針を転換し金銭だけでの補償に落ち着いた。この時も岩瀬は推定年俸こそ5000万円だったが、すでに43歳で、中日としては、まさか指名されるとは考えずプロテクトから外していた。おそらくソフトバンクは和田の42歳の年齢と推定年俸が2億円と高額のため、取られることはないとたかをくくってプロテクトから外していたのだろう。誤算と言えば誤算。見通しが甘かったとも言える。
 ただSNSでは「ゴネ得がまかり通るのはおかしくないか?」「28人のプロテクト枠に加えてもうひとつ特別枠があるのと同じでは?」「もう人的補償はやめるべき」などの意見が飛び交った。
 プロ野球界という“村”の中でできる限り波風が立たないように互いに“大人の対応”を選択するがゆえに、事実上、ルールをゆがめるような“交渉”がまかり通ることになれば、現状のFA制度そのものの根幹を揺るがすことにもなりかねない。一方でプロ野球選手会は人的補償を廃止することを求めている。これを機に人的補償の見直しを真剣に議論すべき時期にきているのかもしれない。FAは選手に認められた正当な権利だが、有力選手を失った球団側がプロテクトされた28人以外から人的補償を求めるのも正当な権利。すべてがルールにのっとって行われたことだったが、なんとも後味の悪い騒動となった。
(文責・RONSPO編集部)

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