元2階級制覇王者の中谷潤人(上)と元K-1王者の武居由樹(下)の2人が今年バンタム級の世界ベルトを巻く可能性が高い(写真・アフロ/山口裕朗)
元2階級制覇王者の中谷潤人(上)と元K-1王者の武居由樹(下)の2人が今年バンタム級の世界ベルトを巻く可能性が高い(写真・アフロ/山口裕朗)

井上尚弥が統一したバンタム級を2024年に日本人王者が独占?!

 史上2人目の2階級4団体統一王者となった井上尚弥(30、大橋)が返上したバンタム級の王座を2024年に日本人が独占する可能性がある。4つのベルトのうち現在の日本人王者はWBA世界同級王者の井上拓真(28、大橋)一人だけだが、2月24日に両国でWBC王座に元2階級制覇王者の中谷潤人(26、M.T)が挑戦。元K-1王者の武居由樹(27、大橋)もWBO王座に照準を絞っており、WBOアジアパシフィック同級王者の西田凌佑(27、六島)はIBF王座への指名挑戦権を持っている。また元WBC世界フライ級王者の比嘉大吾(28、志成)、元日本バンタム級王者の堤聖也(28、角海老宝石)も王座挑戦を狙っており、今年は“ネクストモンスター”の座を狙ったバンタム級のバトルが熱くなりそうだ。

 WBA王者の井上拓真は2.24両国で最強挑戦者アンカハスと防衛戦

 

 2024年はバンタム級が熱くなる。井上尚弥がちょうど1年前の1月に4つまとめて返上したベルトだ。昨年、その空位の王座の決定戦に参加したのは弟の拓真。4月にベテランのリボリオ・ソリス(ベネズエラ)を見事に封じ込んでWBA王座を奪った。昨年11月に予定されていた元IBF世界スーパーフライ級王者のヘルウィン・アンカハス(フィリピン)との初防衛戦は、自らの練習中の肋骨骨折で延期となったが、今年2月24日に両国で再セットされた。
「過去一凄い相手。完封して勝ちたい」
 肋骨はスパーリングで何か強烈なボディショットを打たれて痛めたわけではなく、正確な原因は不明だというが、すでに完治。「延期になった分、より練習も多くできる。熱い試合でファンを沸かせたい」と自分に言い聞かせた。
 アンカハスを蹴散らせば、すでにV2戦の相手も決まっている。指名挑戦権を持つ石田匠(井岡)との指名試合だ。石田は昨年12月10日に行われた世界前哨戦でジェームス・パガリン(フィリピン)に3回TKO勝利して勢いづいている。
「世界戦へ向けて、いい準備はできた。個人的には井上選手に勝って欲しい。名前がある選手。対して僕は無名。盛り上がるバンタム級で井上選手に挑戦したい。タイプが似ているんで、おもんない試合になると思うが、今すぐやっても余裕で勝てる。自信がある」
 そう豪語した。拓真vs石田との日本人対決も注目の一戦となる。
 その2月24日の同じ興行でWBC同級王者のアレハンドロ・サンティアゴ(メキシコ)に挑戦するのが元2階級制覇王者の中谷だ。リング誌、ESPN、CBSスポーツが昨年の5月に米国で行われたWBO世界スーパーフライ級王座決定戦で中谷がアンドリュー・マロニー(豪州)を12回に戦慄のカウンターフックで倒した試合を2023年の最優秀KO賞に選んだ。井岡一翔(志成)が返上したベルトだ。 
 昨年9月の初防衛戦のアルヒ・コルテス(メキシコ)戦は、終始ペースを握っての判定勝利だったが、パフォーマンスは明らかに悪かった。同王座を返上しての階級アップは懸命な選択。しかも、いきなり世界挑戦の機会を得た。
「体重がきつくなっている状況だったし、WBCのバンタム級王座は、歴史のあるタイトル。凄く気持ちが入った。相手は、すごく出入りの多いファイターだが、一発でタイトルを取りたい」
 サンティアゴは、昨年7月の同王座決定戦で井上尚弥と2度対戦した元5階級制覇王者の“レジェンド”ノニト・ドネア(フィリピン)を3-0判定で下して初めて世界ベルトを巻いたオーソドックススタイルのファイターだ。上背は1m59と低いが、好戦的でスピードのある左ジャブ、右クロスにチャンスの連打でドネアを圧倒した。36戦28勝(14KO)3敗5分けの成績が示すように一発で仕留めるようなパンチ力はない。身長、リーチで上回る中谷が、相手の前進を止める、あるいは、ステップワークでいなせば、憧れの緑のベルトが手に入るだろう。

 

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