1.28ONE有明大会は“異端の格闘家”青木真也の“引退”マッチとなるのか…今年4月で切れる専属契約…その先は?
――ただいつかその日はやってくる。引退の美学は?
「僕が定義するプロ格闘家でなくなった時でしょう」
――それは?
「今の(格闘技界は)プロじゃない。(プロの格闘技を)成立させる考えもない。勝った負けたばかりを考えている競技者ですよ。僕はプロ格闘技の選手だと思っている。仕事だったらやるし、どんなことでも成立させることを大事にしている。僕はアスリートでもなく競技者でもない。プロ格闘技選手として必ず成立させるのが僕が考えるプロ」
青木のプロ論は熱を帯びた。
「僕はスポーツをやっているとは思っていない。芸事ですよ。僕の細かい手の動きや、立ち方、ジャブひとつ、組み方ひとつで、お客が沸きますか? わかっていますか? わかっていない。やはり感情移入や紆余曲折があってワーッとなる。プロレス、格闘技、たとえばオペラであっても全部一緒なんですよ」
だから青木は今回の日本開催が4年ぶりとなるONEに物語を仕掛けた。
青木のプロ格闘家の定義で言えば、団体からのオファーがなくなる時点が区切りであり引退を強いられるタイミングになる。
「それはある。だから、みんなレベルを下げてオファーをくれるところでやるんですよね。(ファイトマネーが)いくらでもやることを僕はプロとは思わない。僕にも意地があります」
さらに青木は、こう続けた。
「みんな役職にしがみついたり、いい条件にしがみつく。そういう奴ばっかりじゃないですか?それって格好悪い。オレはダメだと思ったらさっと一線から引く」
対戦相手のノースカットは並外れたパワーが自慢の元UFC戦士。しばらくケガで戦列を離れていたが、昨年復帰白星を飾った27歳と勢いに乗るストライカーだ。ノースカット自身が青木との試合を熱望しており、2021年に一度対戦が組まれたが、新型コロナの影響で白紙に戻っていたカードである。青木からすれば世代交代に抗う戦いになるのだろうか。
青木は「そんなのとは違う」と首を横に振った。
そして4月にONEとの契約が切れた後の未来についての壮大な謎かけを残した。
「この後のキャリアへのイメージは自分にはある。勝ち負けもあるかもしれないが、それ以上に自分が何十年(格闘技を)やってきた総決算の意味だね」
それはONEとの再契約なのか、あるいは、団体の壁があり、これまで交われなかった朝倉未来やRIZINで客を呼べる有力ファイター達とのマッチメイクなのか。2024年に青木真也は、謎かけの種明かしをしてくれるだろう。いや青木のことだから答えは据え置いたままで、また新たな謎を問いかけてくるのかもしれない。
(文責・RONSPO編集部)