今日発表!阪神とWBCの優勝は掛布雅之氏と栗山英樹氏の野球殿堂入りへの“追い風”となるのか?
日本の野球殿堂入りの発表、通知式が今日18日、野球殿堂博物館で行われる。野球殿堂は引退後5年以降の選手で、その後15年間が選考対象となるプレーヤー表彰と、監督、コーチ退任後6か月以上、もしくは引退後21年以降の選手が候補者となるエキスパート表彰に分かれていて、今年度はプレーヤー27人、エキスパート18人の候補者が発表されている。プレーヤー表彰は取材歴15年以上の野球記者、エキスパート表彰は殿堂メンバー&取材歴30年以上の野球記者の投票により選考され、有効投票数の75%以上を得票した候補者が殿堂入りを果たす。今年度の注目は、18年ぶりのリーグ優勝、38年ぶりの日本一で盛り上がった阪神OBの掛布雅之氏(68)とWBCで世界一となった侍ジャパンの監督を務めた栗山英樹氏(62)の当落。果たして優勝の“追い風”は2人の殿堂入りを後押しするのか?
“ミスタータイガース”掛布氏は昨年度14票足りずに落選
2023年度の新語・流行語年間大賞に選ばれたのは阪神の「アレ(A.R.E)」。18年ぶりのリーグ優勝と38年ぶりの日本一に輝いた阪神タイガースのスローガンだ。そしてWBCの米国との決勝前のミーティングでドジャースに移籍した大谷翔平が問いかけた「憧れるのをやめましょう」という言葉もノミネートされていた。阪神とWBCでの侍ジャパンの優勝は、2023年の野球界のトップトピックスであっただけではなく社会現象にまでになった。その“追い風”は、果たして今年度のエキスパート表彰で殿堂入りの候補となっている掛布氏と栗山氏の合否にどう影響するのか。
1959年に創設された日本の野球殿堂は「日本の野球の発展に大きな貢献をした方々の功績を永久に讃えて顕彰するためのもの」と定義されている。明確なガイドラインはない。2009年からプレーヤー表彰とエキスパート表彰に分かれ、エキスパート表彰では、プレーヤーとしては残念ながら表彰機会のなかった功労者に再び光を当てるケースが多い。もちろん掛布氏の功績と昨年の阪神の快挙は何の関係もない。だが、1985年の日本一に貢献した掛布氏がクローズアップされる機会が多く、投票資格を持つ人たちに、その功績を再認識させた可能性はあるだろう。
加えて過去の殿堂入りの傾向も掛布氏に味方している。昨年度は、阪神のランディ・バース氏が選ばれた。事実上、初の外国人選手の殿堂入りだったが、次点が掛布氏で当選ラインの116票にわずか14票足らなかった。殿堂入りの傾向として、よほどの大物が新候補として加わらない限り、前年度の当選者の票の一部が次点だった候補に流れ、当選するというパターンが多い。わずか14票差だったことを考慮すると、殿堂入りの可能性は高いだろう。掛布氏の引退は33歳と早かったため、引退後、20年という期限のあるプレーヤー表彰での候補に入る期間は切れたが、2016、2017年と阪神の2軍監督を務めたことで、エキスパート部門での資格が復活、2018年から再び候補に入った。
掛布氏は、習志野高から1973年にドラフト6位で阪神に入団。高卒1年目から出場機会を得て、3年目には三塁のレギュラーを奪い、打率.325をマーク。1979年に48本塁打を打ちタイトルを獲得した。1982年、1984年とさらに本塁打王を獲得しているが、1984年は、37本塁打で中日の宇野勝とタイトルを分け、敬遠合戦が批判の対象となった。1985年には、4番打者として岡田彰布(現阪神監督)、バース氏とクリーンナップを組み、3割、108打点、40本塁打の成績で優勝に貢献。だが、腰や膝の故障に苦しみ1988年に引退している。1m75と小さな体をゴムまりのように弾けさせて打つ独特の打法で、バットを投手に向けて突き出すルーティンは、のちにイチローが真似たことで知られる。また2016年には、金本知憲監督に請われ27年ぶりに現場復帰して2軍監督として若手打者を育成した。