「井上尚弥が負けるとすれば階級アップか年齢の衰えしかない」“モンスター”が権威あるシュガー・レイロビンソン賞に日本人初選出
大橋ジムは19日、史上2人目の2階級4団体統一の偉業を成し遂げたスーパーバンタム級統一王者の井上尚弥(30、大橋)が全米ボクシング記者協会から2023年の年間最優秀選手賞(シュガー・レイ・ロビンソン賞)に選出されたことを発表した。同協会の会長から連絡を受けたもの。1938年から始まった同賞を日本人が受賞するのは初だ。井上は5月に東京ドームで元2階級制覇王者の“悪童”ルイス・ネリ(29、メキシコ)と防衛戦を行うことが濃厚となっているが、米メディアは早くも「ネリで井上に勝てるのか?」と井上の有利を予想。「井上が負けるとすれば、階級アップのミスを犯したときか年老いた時しかない」とまで評した。
「98年の歴史に受賞の重さと大きさを感じた」
モンスターにまたひとつ新たな栄誉が加わった。全米ボクシング記者協会が“拳聖”と呼ばれる元世界王者の名をつけた2023年度の最優秀選手賞(シュガー・レイ・ロビンソン賞)に井上を選んだ。昨年7月のスーパーバンタム級への転級初戦でWBC&WBO世界同級王者スティーブン・フルトン(米国)に8回TKO勝利、12月にWBA&IBF世界同級王者マーロン・タパレス(フィリピン)に10回KO勝利した2試合を評価したもの。米専門サイトの「ボクシングニュース24/7」によると「最も権威のある賞のひとつ」だという。
1938年の初代受賞者のジャック・デンプシーから始まり、無敗のヘビー級世界王者であるロッキー・マルシアノ、レジェンド中のレジェンド、モハメッド・アリ、元6階級制覇王者マニー・パッキャオなど錚々たるボクサーが受賞してきた。 同サイトは「井上は、その素晴らしい顔ぶれの仲間に入るのに値する」と伝えている。
井上は大橋ジムを通じて「昨年、日本での2試合でしたが、こうして世界中の記者の方々からの評価をいただけて光栄に思います。全米ボクシング記者協会の会長から直々に受賞のご連絡をいただきました。同協会が98年の歴史があると知り、あらためて受賞の重さと大きさを感じました。24年もさらに精進していきたいと思います」とコメント。
大橋秀行会長も「1938年の初代受賞者はジャック・デンプシー選手です。伝説中の伝説のボクサーから始まった全米ボクシング記者協会の年間最優秀選手賞で井上尚弥が日本人初受賞したことは、本当にすごいとしか言いようがありません。しかし、まだまだこれからが始まりです。みなさん、期待してください」と感激を伝えた。
井上は、ここまでリング誌、ESPN、CBSスポーツ、ボクシングシーンなどの米主要メディアによる2023年の年間最優秀選手賞を総なめにしている。
「これからが始まり」の注目の次戦は、“悪童”ネリを5月に東京ドームに迎えることが濃厚となっている。元2階級王者のWBCの指名挑戦者。2017年8月、2018年3月と、元WBC世界バンタム級王者の山中慎介氏に2試合連続でTKO勝利しているが、タイトルを奪った1試合目では、ドーピング疑惑が持ちあがり、再戦では、2.27キロの体重超過。再計量でも1.35キロオーバーでタイトルが剥奪され、JBCは、日本での無期限の出場停止処分を科した。その後、スーパーバンタム級に上げてWBC世界同級王座を獲得したが、2021年5月にWBA世界同級王者のブランドン・フィゲロア(米国)と統一戦を行い、7回KO負けして王座から陥落。ちなみに、この統一王者となったフィゲロアに勝ったのが、フルトンで、その2つのベルトを昨年7月に井上がフルトンから奪い取った。