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寺地拳四朗とカニサレスがフェイスオフ(写真・山口裕朗)
寺地拳四朗とカニサレスがフェイスオフ(写真・山口裕朗)

“美容男子”WBC&WBA世界ライトフライ級王者の寺地拳四朗が「顔も体も傷つけずに勝つ」と公約した理由とは?

 ルールミーティングでは、WBCの意向で統一戦では異例の4回、8回の途中公開採点が採用されることが決まり、加えてWBCが新たに取り入れた棄権の意思表示をするための赤いTKOタオルが用意され、棄権する際には、それを投げ入れることが発表された。また映像を使ったインスタントリプレイは行わないという。
 “参謀”の加藤トレーナーは、「できれば公開採点はない方がよかった。駆け引きができなくなるんで」と、少し顔を曇らせた。TKO負けで王座から陥落した3年前の矢吹正道(緑)戦では、ジャブでポイントを取っていると考えていた序盤戦が、公開採点により、逆に取られていることが判明しペースを乱して悪夢を見た。そういう意味では、公開採点は歓迎すべきルールではないが、WBCが提唱してきたため、WBAも寺地陣営も承諾した。
「顔も体も傷つけずに勝つ」という自信の裏返しだろう。
 絶頂期にある今の拳四朗であれば、カニサレスは敵ではない。「見えない」ボディで痛めつけてから中盤にはKOシーンを演出するだろう。
 そしてこの指名試合をクリアすれば次なるビッグマッチ計画がある。
「統一か、階級を上げるか。いずれにしろベルトを増やしたい」
 ライトフライ級に留まるのであれば、2月に前王者とダイレクトリマッチを戦うIBF王者のエイドリアン・キュリエル(メキシコ)か、一度は対戦が決まっていたものの病気で流れたWBO王者のジョナサン・ゴンサレス(プエルトリコ)が3月に行う暫定王者との統一戦の勝者のどちらか。その交渉が不調に終われば、フライ級に上げる。そこでの最大のターゲットは、元WBC世界スーパーフライ級王者で、現在、WBO&IBF世界フライ級2団体統一王者であるジェシー・ロドリゲス(米国)。もしロドリゲス戦がすぐには難しいのであれば、アンダーカードで対戦するWBA世界同級王者、アルテム・ダラキアン(ウクライナ)対同級1位のユーリ阿久井政悟(倉敷守安)の勝者も候補だろう。いずれにしろ拳四朗は、ここで足踏みしているわけにはいかない。
 拳四朗は、計量を終えるとインスタントの味噌汁とゆで卵を胃袋に流しこんだ。グルメの世界王者にしては珍しく、その後は、ご飯と納豆と味噌汁のシンプルな食事を済ませるという。
「シンプルな和食がいい。そういうのが良くなってきた年齢ですかねえ」
 童顔で美白の32歳の2団体統一王者は、そう言って笑った。

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