「引退詐欺だ!」井上尚弥との対戦も要望した無敗王者シャクール・スティーブンソンの引退表明に米メディアやファンが疑念の声
ボクシングニュース24によると、スティーブンソンがぶんむくれた理由は、ターゲットにしていた大物のビッグファイトが次々と決まったことにあるという。まずWBO世界スーパーフェザー級王者のエマヌエル・ナバレッテ(メキシコ)が階級をライト級に上げてくるが、スティーブンソンへの挑戦ではなく、空位となったWBO同級王座をデニス・ベリンチク(ウクライナ)と争うことになり、元3階級制覇王者のワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)も、5月12日に空位となったIBF世界同級王座をジョージ・カンボソスJr.(豪州)と争うことになった。スティーブンソンはナバレッテの報道に対して「うんざりだ」とXに投稿していた。
また4団体統一王者だったデビン・ヘイニー(米国)がスーパーライト級に転向、元WBC世界ライト級暫定王者で人気が抜群のライアン・ガルシア(米国)と対戦する計画が練られているとの報道だあった。スティーブンソンは、“蚊帳の外”状態。同メディアは、「多くのボクシングファンはヘイニーが、シャクールの攻略が難しいボクシングスタイルに対処することを好まず、彼を避けるために140ポンド級(スーパーライト級)へ移ったと考えている」と記した。
スティーブンソンは、引退表明のXに「この意気地のないボクシングというゲームに興味はありません」と綴っているが、対戦を回避され、ビッグファイトが決まらない現状に嫌気がさしたのだろう。ただライト級には、ガーボンタ・デービスが居座っており、ロマチェンコやナバレッタも、王者になればライト級王座の統一を目指していくと考えられており、スティーブンソンがベルトを持っている限り、いずれ対戦候補として浮上してくる。ビッグファイトが実現する可能性も十分だ。事情を知るメディアやファンがスティーブンソンの引退表明をまともに受け取らないのも無理はない。SNSでは「まだ引退詐欺だ」という声が飛び交っていたほど、米のボクシング界では、引退→撤回が日常茶飯事でもある。
WBCヘビー級王者のタイソン・フューリー(英国)や、ライト級の4団体統一王者だったテオフィオ・ロペス(米国)が、同じような引退騒ぎを起こしていた。最近では、井上尚弥とバンタム級時代に対戦経験のあるIBF世界バンタム級王者のエマニュエル・ロドリゲス(プエルトリコ)が引退を表明し、わずか数日後に撤回している。ちなみに同級1位の西田凌佑(六島)とロドリゲスの指名試合は入札となり亀田興毅氏が30万ドル(約4400万円)で興行権を得た。話は脱線したが、スティーブンソンが、Xにて引退撤回をする日は、そう遠くないだろう。