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沖縄宜野座でプチ優勝パレードが行われた(写真・黒田史夫)
沖縄宜野座でプチ優勝パレードが行われた(写真・黒田史夫)

「あれじゃ打てへんのとちゃうか?」阪神の岡田監督が森下翔太の新スイングに疑念を抱きながらもノータッチ方針の理由とは?

 指揮官が貫くその方針の裏には若手選手の成長への確かな手ごたえがある。
 練習前には、サブグラウンドからメイングラウンドまでの短いロードの両脇をファンに囲まれてのプチ優勝パレードが行われた。当初オープンカーまで用意される予定だったというが、岡田監督が断りを入れ手を振りながらの徒歩行進となった。
「勝った証。たくさん来てくれてよかった」
 約2500人のファンを前にして行われたセレモニーでは、岡田監督は、こんなスピーチをした。
「日本一になったら何を目標にするのかなと思ったけど、連覇というのは、球団史上ないんで。今年の目標は一つ。連覇に向かって全員でまい進したい」
 ハッキリと連覇と言う言葉を使った。
「今年は、アレに加えてGOES ON。去年のあいさつではアレを9回も言った。僕はそんなに使った覚えはなかったんだけど。今年はアレを言わずに連覇。連覇を第一目標で1年間また戦っていきたい。佐藤輝がいい言葉、アレンパと言ったので、たまにアレンパも言いますので(笑)。目標は一つ。去年よりもっと素晴らしいチームを作って、またシーズンオフに皆さんと連覇の喜びを分かち合いたい」
 前日のミーティングでは2005年優勝の翌年に84勝しながらも中日とのデッドヒートに敗れて2位に終わった自らの悔しかった体験談を選手に伝えた。
「勝ってしまうと2位ではアカン。2位に終わったというのは何の意味もなかった。絶対に俺が一番、今年は勝ってやると思っている」
 その時、岡田監督は選手の反応をうかがいながら「何を言っても“わかっていますよ”という感じだった」との感触を得た。
「目標は、もうみんながわかっている。初日を見ても表情は明るいし、自主トレをしっかりやってきたなという動きをしていた。ピッチャーは、ストレートだけかなと思ったけど、変化球を混ぜて仕上がっている選手もいた。焦らんでええんよ。明日またペースを上げるなと言うよ」
 手探りの1年目から確信の2年目へ。
 岡田監督は1年目に選手に必要以上のプレッシャーをかけまいと、年間流行語大賞にまで選ばれた「アレ」という言葉を使ったが、もう、その気づかいが不要なほどの自信がチームに植え付けられていると判断したのだ。
 追う立場から追われる立場にもなるが「それはわかっている。こっちはこっちでやることをやるようにすればいい」と、ぶれはない。
 岡田監督にとって8年目の沖縄宜野座キャンプ。キャンプイン初日としては、過去一の好天に恵まれた。
「20度を超えるんは、初めてちゃうかな」
 2月1日に雨にたたられたのは、前回の監督就任初年度の2004年だけ。その年はBクラスに終わった。岡田監督は、勝負師らしくそういう些細な巡り合わせをとても大事にしている。自ら昔話を持ち出しながらも「連覇は天気が決めるんちゃうよ」と言って笑った。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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