「ちょっと違和感がある」人的補償でソフトバンクから西武へ移籍の“渦中の人”甲斐野央が入団会見
もちろん、古巣となるソフトバンクの選手たちとも言葉をかわした。突然の別れを寂しがられるとともに、奮い立たされる言葉ももらったと甲斐野は感謝する。
「中村晃さんは『真剣勝負ができるのを楽しみにしている』と言ってくださいましたし、僕もその通りだと思いました。チームメイトだった選手の方々が敵になるのは初めての経験ですし、(ソフトバンクには)対戦したくない打者の方が多いですけど、僕もキャンプでしっかりとレベルアップして、誰が相手でも抑えられるようにしていきたい」
会話内容は秘密とした上で、甲斐野は山川とも連絡を取ったと明かした。報道では山川から甲斐野へ、謝罪が伝えられたとされている。
「もちろん僕からも連絡させていただきましたし、山川さんからもありました」
ソフトバンク時代は「20」だった背番号が、西武では高松渡内野手(24)の「50」への変更に伴い、空き番となっていた「34」に決まった。
「ふざけたことを言うかもしれませんが、三振という意味もあるのかな、と。僕自身、三振を奪うピッチングへのこだわりもあるので」
新しい背番号「34」を「サン・シン」で語呂合わせできると、独自の解釈を披露しながら報道陣を笑わせた甲斐野へ、会見の途中でサプライズ登場した松井監督も、会見を見守った渡辺久信・球団本部ゼネラルマネージャー(58)も同じ言葉を介して期待をかけた。
「真っすぐとフォークで三振を取れる、ウチにいないタイプですよね」
右ひじの怪我で一軍登板がなかった2020年を除いた4シーズンで、トータルの投球回数147イニングを、奪三振数164が上回っている。2022年に最速160kmを計測したストレートと、140km台のフォークを武器にする本格派右腕は、最低でも50試合登板を自らに課しながら、明るい性格の一端をのぞかせることも忘れなかった。
「ソフトバンクではおふざけキャラというか、明るいムードメーカーとみんなから言われていましたけど、いきなりそういうキャラクターを出してしまうと、ダメなのかなと思っています。なので、ちょっと猫をかぶっていこうかなと」
昨シーズンの西武は平良海馬(24)が先発へ転向し、19セーブをあげた守護神の増田達至(35)も防御率5.45とやや精彩を欠いた。勝利に必要不可欠な勝ちパターンのブルペン陣の再編成へ。甲斐野は「中継ぎの投手は誰でも守護神というか、後ろで投げたい気持ちもあります」と闘志を高めながら、A班で迎える6日のキャンプインを心待ちにしている。
(文責・藤江直人/スポーツライター)