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年末の日本タイトル戦で4度のダウンを喫して開頭手術を受け意識不明となっていた穴口一輝が帰らぬ人になった(写真・山口裕朗)
年末の日本タイトル戦で4度のダウンを喫して開頭手術を受け意識不明となっていた穴口一輝が帰らぬ人になった(写真・山口裕朗)

励ましの音声テープを耳元で流し続けるも…4度ダウンの穴口一輝が開頭手術後も意識戻らず死去…井上尚弥セミの日本王座戦

 井上尚弥らボクサー仲間たちからの回復を願うエールが相次ぎ、穴口の同級生の妻、2年前に授かった一粒種の長女、真正ジムの山下正人会長、穴口の母親が看病のため交代で病院につめた。
 録音した家族や励ましの音声テープを耳元で流し続けて意識の回復を待った。寝る間も惜しんで看病していた山下会長は、宿泊していた東京のホテルの近くにある神社に日に何度も足繁く通い、意識が戻ることを祈った。
 1月23日にエディオンアリーナ大阪で世界戦が開催される折に久しぶりに山下会長に会い、現状を聞いたが、憔悴しきっていた。
「試合のどこで原因となる出血が起きたのか…本当にわからないんです。試合が終わるまで異常は見られなかったんですよ。あれだけ根性のある穴口です。絶対に意識が戻ってくれると信じています」
 そんな話をしていた。
 だが、願いは叶わなかった。
 大阪の岸和田市出身の穴口は、6歳からボクシングを始めて小、中で全国大会のタイトルを総なめにし、芦屋学園高時代には高校2冠を獲得した。強豪の芦屋大へ進み、東京五輪を目指していたが、選考会を兼ねた全日本選手権で敗れて一時、ボクシングから離れた。だが、出稽古で何度か真正ジムに来ていた穴口の才能を買っていた山下会長がスカウトし、76戦68勝8敗のアマ戦績を持って2021年7月にプロデビュー。無傷の4連勝で今回のモンスタートーナメント参戦を表明した。 5月の1回戦で内構拳斗(横浜光)に判定勝利。8月の準決勝でも梅津奨利(三谷大和)に判定勝利して決勝進出を決めていた。優勝賞金で家族旅行に行くことを目標にしていたが、決勝を前にXに「 今は1000万なんて本当にどうでもいい。 とにかくベルトが欲しい」ともポストしていた。
 穴口が有明アリーナで見せた“魂の戦い”を誰も忘れないだろう。
 どうか天国で安らかに…。
(文責・ROSNPO編集部)

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