二転三転“ドタバタ”の末に離脱した伊東純也の性加害疑惑問題がアジア杯“勝負”のイラン戦に与える影響とは?
森保ジャパンの主戦システム[4-2-3-1]で、稀有なスピードと縦への突破力を誇る伊東は、2列目の[3]の右サイドのファーストチョイスを担い続けてきた。左利きの堂安律(25、フライブルク)と久保建英(22、レアル・ソシエダ)も同ポジションでのプレーを得意とするが、どちらかを使えばトップ下の選手起用の幅が狭まってくる。
中盤のマルチなポジションでプレーできる旗手怜央(26、セルティック)も、バーレーン戦で右ふくらはぎを痛めて途中交代した。この状況で例えば右に堂安、トップ下に久保を先発させれば、ベンチに控えるトップ下の選手は南野拓実(29、モナコ)だけとなり、必然的に途中交代を含めた森保監督のさい配に大きな比重がかかってくる。
何よりも危惧されるのが、伊東の残留を要請するも、差し戻された形となった選手たちの心理面に与える影響となる。総合力が問われる大一番で、代表チームにかかわるすべての人間が一枚岩となれるのかどうか。会見ではこの点も田嶋会長に問われた。
あとは精神論の問題になると、田嶋会長はこう答えている。
「大切な仲間である伊東選手と、一緒に戦いたいという選手たちの気持ちは伝わってきました。離脱がどの程度影響するのかはわかりません。ただ、選手たちは本当にプロフェッショナルなので、しっかりと切り替えて明日の試合に臨んでくれると信じていますし、この困難な状況を乗り越えられるようなチームであってほしいと思っています」
3日の準々決勝で対戦するイランは最新のFIFAランキングで21位と、17位とアジア最上位につける日本に次ぐ存在となる。過去の対戦成績は6勝5分け6敗とまったくの五分。イランもFWメフディ・タレミ(31、ポルト)を出場停止で欠くなかで、交代要員を含めた総合力が問われる事実上の決勝は、日本時間20時30分にキックオフを迎える。
(文責・藤江直人/スポーツライター)