岡田阪神の“アレ”マニュアルを侍ジャパンに伝授
侍ジャパンの井端弘和監督(48)が2日、沖縄の宜野座で行われている阪神のキャンプを表敬訪問、リーグ優勝&日本一に輝いた岡田彰布監督(66)から虎の“アレ”マニュアルを伝授された。井端監督は「参考にしたい」と語り、阪神からは2年目の森下翔太(23)を短期決戦に必要な選手と評価した。侍ジャパンは3月6,7日に欧州代表と京セラドーム大阪で強化試合を行い、11月には「プレミア12」の戦いが待っている。
侍ジャパンの井端監督と元中日の吉見一起投手コーチのキャンプ視察は、日本一阪神からスタートした。「日本一になった阪神からまずこようと。縁起のいい球団にあやかりたい」と井端監督が理由を説明した。
午前10時前に「バイトするならエントリー宜野座スタジアム」に到着した2人は、すぐにグラウンドに出て岡田監督に挨拶。そのまま沖縄の青空の下で笑顔を浮かべながら緊急会談が始まった。
目の前では、走力強化のスパイク走が行われていたが、井端監督は「ほぼ全員がひとまわりもふたまわりもでかくなっていて驚いた」と言い、岡田監督にその印象を伝えた。岡田監督は「優勝という自信でそう見えるんちゃうか」と答えたという。
「多少はそれもあるかもしれないが、オフにしっかりと体だったり、技術を磨いてきたんだなと」
66歳の大監督を前に井端監督、吉見コーチの2人は、恐縮をしながらも、聞きたかったことを遠慮なく質問した。
「阪神の戦い方を色々と聞きました。こういう風な戦いで昨年は勝てたと教えていただいた。全部が全部じゃないが、参考にしたい」
青空会談の中で、井端監督は、18年ぶりの優勝と38年ぶりの日本一を果たした阪神の強さの秘密を岡田監督から伝授された。
井端監督は昨年の虎の戦いを「たたみかけるときはグイグイくる。終盤に接戦に持ち込めば勝てるという試合運び。選手も勝てると思ってやっていたと思う。見ていて安心感あった」と見ていた。
井端監督は、その授かった“アレ”マニュアルの中身を明かす。
「ピッチャーがフォアボールを出さないこと。そんな連打、連打されるピッチャーは五輪(の対戦出場選手の中)にはいない。投手だったらフォアボールだったり、バッターだったら、ひとつの四球(を選ぶこと)だよ、と」
昨季の岡田阪神の特徴は、奪四球数と与四球共にリーグベストだった点だ。チーム防御率2.66を誇る投手陣は、先発、中継ぎ、抑えとすべてに充実していたが、与四球315がリーグ最少。また打線が選んだ494四球もリーグ最多だ。この岡田野球は、侍ジャパンの戦いのような短期決戦や相手の情報があまり手に入らない国際試合に適している。
「(国際試合では)わからないピッチャーを打たないといけない。1イニングで5、6本も(ヒットが)出るわけはないと思っているので、その中で、フォアボール、守りでいえばエラーを含めて、ミスをしないことが(大事で)、そういうところは、日本が他の国に対してはできている方。基本は打っていく(というチームスタイル)は変わらない。だが、追い込まれたら、そこからなんとか(四球でもつなぐ)という気持ちが出てくれば」
井端監督は岡田監督の教えに納得した。