「お前は偽善者だ!」ファンを裏切ったメッシ騒動が波紋…中国でのアルゼンチン代表戦が中止となり「出場しなかった」香港では約8億円の損失でチケットの半額を返金
しかし、香港側はこれに納得できなかった。
試合終了直後には香港政府のトップ、李家超行政長官(66)が遺憾の意を表明。さらに「主催者に対してイベントの詳細説明と、チケット購入者の要望に応えるように政府として求める」と語るなど、問題はスポーツの枠を超越した。中国本土にも不満が飛び火するなど、波紋が大きく広がるなかで、香港政府と協議を重ねてきた同社が全面的に謝罪した。
声明には連結損益計算書も添付される異例の形が取られていた。
香港メディアの『東方日報』によれば、チケット最高額が4880香港ドル(約9万3000円)と設定された一戦の総収入が1億5700万香港ドル(約30億円)を、インテル・マイアミの出場費を含めた総支出が1億4400万香港ドル(約27億5000万円)をそれぞれ計上。当初は1300万香港ドル(約2億5000万円)の利益が見込まれていた。
しかし、正規のルートでチケットを購入したファンを対象に、3月中旬をめどに詳細が発表される代金の50%払い戻し措置で5600万香港ドル(約10億7000万円)の費用が発生。同社が被る損失額は4300万香港ドル(約8億2000万円)とされている。
香港政府と協議を重ねてきた同社は、声明で「われわれは主催者としての責任から逃げない」とも謳っている。しかし、別の香港メディアの『大紀元』は、巨額の赤字を計上するチケット代金の半額払い戻し措置をこう報じている。
「政府から圧力を受けたタトラー・アジアが、最終的に追い込まれた」
香港政府はインテル・マイアミに対しても、メッシとスアレスが出場しなかった件に対して誠意ある回答を求めていた。米スポーツ専門放送局『ESPN』はインテル・マイアミが8日に公表した、謝罪を含めた声明を次のように報じている。
「今回の決断を介して香港のファンやタトラー・アジアを失望させ、フラストレーションを与えたと認識している。しかし、残念ながら怪我はサッカーの一部であり、われわれは選手の健康を常に第一に考えなければいけないと認識している。ファンのみなさまが受け入れてくれるのならば、われわれは再び香港を訪れたいと熱望している」
しかし、これで一件落着とはならなかった。
香港政府の消費者委員会には、チケットの半額払い戻しが発表された後も苦情が相次いでいる。香港メディアの『新浪体育』によれば、9日17時の時点で苦情は1358件を数え、そのうち274件が香港への旅行者によるものだという。実際、メッシ見たさに中国の新疆ウイグル自治区から約半日をかけて香港を訪れたファンもいたほどだ。