• HOME
  • 記事
  • 野球
  • なぜ横浜DeNAドラ1の度会隆輝は猛打賞&2打点の鮮烈デビューを果たせたのか…虎の“OO7”が警戒するクレバーな対応力とは?
横浜DeNAのドラフト1位の度会が紅白戦で猛打賞&2打点の鮮烈デビュー(写真・黒田史夫)
横浜DeNAのドラフト1位の度会が紅白戦で猛打賞&2打点の鮮烈デビュー(写真・黒田史夫)

なぜ横浜DeNAドラ1の度会隆輝は猛打賞&2打点の鮮烈デビューを果たせたのか…虎の“OO7”が警戒するクレバーな対応力とは?

 横浜DeNAのドラフト1位である度会隆輝(21)が10日、沖縄の宜野湾で行われた紅白戦で「1番・ライト」でスタメン起用され、初の実戦デビュー戦で4打数3安打2打点の猛打賞の活躍を見せてアピールに成功した。追い込まれたカウントと得点圏で打撃内容を変化させる新人離れした対応力を三浦大輔監督(50)も絶賛。ネット裏からチェックした虎の“007”も要注意マークをつけた。またベンチからの元気のある声もチームで一番、目立っていた。昨季は1番打者を固定できなかった横浜DeNAに頼れる新戦力が出てきた。

 追い込まれると打撃スタイルを変化

 “持っている男”なのかもしれない。「1番・ライト」で紅白戦にスタメン出場したルーキーの度会が、その注目の第一打席から、解放されたスタンド部分がビッシリと埋まったスタジアムをどよめかせた。
「緊張はしていなかった。それよりも楽しもうと」
 2021年のドラフト1位の小園を相手にフルカウントから139キロが表示された外角のストレートを引っ張って、一、二塁間を破った。
「小園投手は球も走っていて伸びもあったんですが、2ストライクに追い込まれて自分の中ではギリギリまで(ボールを引き)寄せた。レフト前でOKくらい(引き)寄せたバッティングでライト前になった」
 “プロ初打席初ヒット”にも一塁ベース上ではアクションはなし。実は「むちゃくちゃ嬉しかった」そうだが、一塁の石井コーチに「エルボー!」と防御具の取り外しを指示されて、ガッツポーズをする暇がなかったという。「次は隙があればやります」。
 この打席で度会は、2球で追い込まれたが、そこから構えが微妙にコンパクトになった。
「追い込まれるまでは強いスイングすることを心掛けている。追い込まれたら、より芯でどれほど最短距離にバットを出すかを意識している」
 シチュエーション別の打撃の変化を社会人のENEOS時代から身につけていたのだ。三浦監督は、ドラフト4位の石上(東洋大)を「2番・セカンド」、ドラフト6位の井上(徳島インディゴソックス)を「3番・サード」で起用していたが、石上のライト前ヒットで、度会が三塁へ進み、井上がライトへ犠牲フライを決め、ルーキートリオで先制点を奪い取ってしまった。
 まだ度会劇場は、序章に過ぎなかった。
 続く2回一死一、二塁の得点圏では、カウント2-2から小園が投じた138キロのストレートを鋭いゴロでセンター前へ弾き返して“プロ初打点”をマークした。得点圏の打撃にも、度会流の極意があり、「得点圏では、ピッチャー返し。その足元を狙う」という。
 3回二死満塁で巡ってきた第3打席はレフトフライに倒れたが、圧巻が4回の第4打席だった。二死二塁で徳山がインローに投じたカットボールを思い切り、引っ張ると打球は、宜野湾から吹きつける逆風をものともせずライトの頭上を越えてフェンスを直撃したタイムリーツーベース。ベンチの声にこたえる形で左手を突き上げた。
「真っすぐを意識した中での変化球対応。おそらくカットボール。うまく対応できた。低めをすくって、アゲインストだったが、距離は出た。ドライブ(回転の打球)でフェン直だったが、ちょっとでも角度がついていたら入っていたと思う」
 “プロ第1号”の手応えがあったという。
 度会はバッターボックスの一番前に立つ。「今のところ社会人時代のスタイルでいくつもり」。インコースが得意なのだろう。
「読みをもって打席に入っていない。真っすぐと変化球をフラットなイメージで」
 ヤマは張らない。
 配球の待ち方も高打率を残す打者に多い対応型である。
 6回の第4打席は左腕のディアスに対してストレートの四球を選んだ。左腕に対して、どう対峙するかを注目したが、ほんの数センチのレベルだが、右足をオープンにしていた。おそらく距離を作ることを意識していたのだろう。左腕対策もできているのかもしれない。
「100点をつけてはいけないと思うが。すべて思い描いたバッティングができた。打席、打席のシチュエーションによって対応ができたのがよかった」
 鮮烈のデビュー戦を飾った度会は、そう言ってニコっと笑った。横浜DeNA、中日、ロッテの3球団が競合した実力をいきなり証明した。

 

関連記事一覧