なぜ横浜DeNAドラ1の度会隆輝は猛打賞&2打点の鮮烈デビューを果たせたのか…虎の“OO7”が警戒するクレバーな対応力とは?
度会のアピールは打席だけではなかった。
ベンチからの度会の声が球場中に響き渡っていた。
打球が、ふらっと上がると「落ちろ!」と叫び、「言い流れがきてるよ!梶(原)さん、つなげていきましょう」などと一人一人の名前を「さん」付けで呼びながら大声を出す。
「今日はビブラートを震わせた」という甲高い声がとにかくよく通るのだ。
それでも声に関しては「20点。もっと元気を出せた」と反省していた。
「自分自身が暖かい声や、鼓舞した声があると個人的にやりやすい。励みにもなる。いい形でプレーする後押しができればいい」
「声」という非凡な武器が度会にはある。
一方でライトの守備ではチョンボをやらかした。6回一死一、三塁で西浦のライト前ヒットを処理する際に前へ大きく弾いてしまい、走者の進塁を許した。
「よかったところは継続して、課題はなくしてよりいいものにしていきたい」
それでも度会はポジティブ思考だ。
三浦監督は、度会の猛打賞&2打点デビューをこう評価した。
「ルーキートリオが3人ともいいものを出してくれた。(度会は)打席でも注目を集めていた。ベンチでも声を出していたし、守備でもいろんな意味で注目を集めた。実戦派かなと思った。対応力がしっかりあった。バットの軌道みていてもいい形で素直に出ていた」
“番長”は1番で起用した。
「まだ1試合で(笑)何も決められないが、可能性はある。チームにとってどこがいいか。全体のバランスもある」
選球眼に優れ、打率、出塁率だけでなく、得点圏の打撃にまで期待が高まる度会はトップバッターとしてはうってつけなのかもしれない。
昨季は佐野から始まって関根、楠本、梶原、桑原、大田、蝦名、知野までが1番を打ち、広島と激しい2位争いをした終盤からクライマックスシリーズは林が任されるなど、固定はできなかった。チームにとって、ある意味、懸念のポジションに度会という新たな選択肢が出てきたことは、大きなプラス材料だ。
1番打者というキーワードについて度会は、「4打数3安打。打率、出塁率も残せた。ランナーがいるときに打点を残せたことも良かった」と返した。
まだ発展途上中のスピードとパワーがプロでどこまで通用するか、が注目ポイントだったが、それらの不安を消す打撃内容だった。1年を通じて戦える体力があるのか、などの不透明な部分はあるが、ネット裏でチェックしていた阪神の太田貴スコアラーも要注意マークをつけた。
「見ての通り、バットスイングにスピードがあり、何しろボールへのコンタクト率が高い。練習の中でもほとんど芯でとらえる。実戦タイプかなと見てきたが、今日みたいに実戦で結果を残せる選手だろう。追い込まれての対応などにもセンスを感じる。今後は、一流のピッチャーに対して、どう対応するかを見てみたいし、開幕から、1軍戦力として出てくるものだと考えてマークしていきますよ」
昨年の横浜DeNAと優勝した阪神の対戦成績は12勝13敗。最も虎を苦しめたチームに加わる新戦力に“007”が注意を払うのも当然だろう。ちなみに横浜DeNAは、開幕第2カードとなる4月2,3,4日に京セラドームで阪神と対戦する。
(文責・RONSPO編集部)