なぜ久保建英はビッグクラブ移籍を選択せずレアル・ソシエダと2029年6月まで契約を延長したのか…その裏事情とは?
「昨夏に続いて今年1月の移籍マーケットで久保建英の門をたたくクラブが後を絶たなかった状況から、ソシエダが今夏における彼の退団を回避させるための交渉を続けていることは知られていた。そして、素晴らしいニュースは、パリでの歴史的な一戦を控えたチュリ・ウルディン(ソシエダの愛称)のファンを高揚させた。今回の契約延長とともに、久保は年俸面を含めてクラブのなかで最も評価の高い選手の一人となった」
同メディアはさらに、今シーズン途中にソシエダと戦略的パートナーシップ契約を結び、ユニフォームの胸部分に「YASUDA」のロゴを掲出している、日本企業の「ヤスダグループ」の存在と久保の契約延長を次のように関連づけている。
「ヤスダグループがメインスポンサーとなったソシエダにとって、久保の契約延長は日本国内でクラブを位置づけていく鍵を握っていた。久保がクラブに長く在籍する理由は競技面に加えて、マーケティング面も強く関係していた。もちろん久保自身もクラブに長く残りたいと望んでいて、それは彼がこれまで残してきたコメントで何度も証明されていた」
ソシエダとの契約延長を受けて、久保にラブコールを送り続けていたマン・Uはどう出るのか。英紙『Daily Express』は次のように伝えている。
「現状の7倍の報酬を久保に提示する準備を進めていたユナイテッドは、当面はスペインに留まることを望んだ久保の決断によって、大きな打撃を受けたことは否定できない。クラブはこの夏に、新たなウインガーを他に探す必要性が出てきた」
久保を狙うビッグクラブ勢に対して、今回の契約延長はすでに“けん制”の役割を果たしている。ならば、久保自身にはどのような思いを巡らせていたのか。久保は公式HPやXで公開された動画のなかで、新たな契約書にサインした心境をこう語っている。
「まだ契約年数が残っているなかでの契約更新ですけど、数ある理由のひとつとして選手や監督、チームスタッフ、応援してくれるファン・サポーターのみなさんとのフィーリングがすごく合っている点が決め手になりました。レアル・ソシエダがいま、成長期にあることは僕も理解しています。それと一緒に、僕もさらに成長していきたい」
FC東京から2019年6月にレアル・マドリードへ完全移籍した久保だったが、以降の3シーズンはマジョルカ、ビジャレアルとヘタフェ、再びマジョルカへ期限付き移籍を繰り返した。武者修行が謳われていたものの、レアル・マドリードへ復帰できる保証がまったくない状況で、メンタル的にも不安定な状況が続いたと打ち明けたこともある。
だからこそ自らの意思で王者と決別し、完全移籍で加入したソシエダで直面した環境に感謝した。久保へ厚い信頼が寄せられ、久保も全力のプレーで応える。昨シーズンは9得点4アシストとキャリアハイの数字を残してソシエダをラ・リーガ1部の4位に導き、10シーズンぶりのチャンピオンズリーグ出場権を手にする原動力にもなった。