なぜ阪神の岡田監督は調整不安のノイジーと森下翔太を放置しているのか?
もうひとつは外野のレベルアップへの手応えがあるからだ。
3年目の前川が紅白戦の初戦で4安打を放ちアピールに成功。育成出身の2年目の野口は、飛ばし屋の本領を発揮し、フリー打撃では、昨年の最優秀防御率投手である村上からも一発を放った。岡田監督は「ボールが上がる。運んでいるイメージや。天性のもんやろな」と野口の長打力の魅力を熱く語っていた。
粘り強くチャンスに強い打撃が自慢の小野寺も紅白戦で2試合連続ヒットを放ち、「走り屋や」と岡田監督が評した白鷗大から育成ドラフト2位の福島も紅白戦で盗塁を決め足のスペシャリストとしての存在感を示してキャンプで1軍組へ昇格した。福島は足だけではなく肩も強く、バッティングも紅白戦で2試合連続でタイムリーをマークするなど悪くはない。
「代走で出て守備固めという形から入ってバッティングがよくなってもええわけや。(ソフトバンクの)周東なんか最初は代走ばっかりやったけど、今や侍ジャパンのレギュラーになったからな」
岡田監督はソフトバンクの周東に重ね、まだ支配下登録もしていない福島が単なる代走で終わらない可能性さえ示唆した。また紅白戦の初戦でチーム第1号を放ったミエセスもいる。指揮官は個性豊かな外野のレベルアップに手応えを感じており、ノイジー、森下の2人に「なんぼでも他に使える選手がおるでえ」と無言のハッパをかける意味でもあえて放置しているのである。
昨季ノイジーは133試合に出場し、打率.240、9本塁打、56打点、森下は94試合に出場し、打率.237、10本塁打、41打点の成績を残した。ノイジーは日本シリーズ第7戦でオリックスの宮城から放った均衡を破る3ランが残留の決め手となり、森下も日本シリーズ第5戦の逆転のタイムリースリーベースなど数字以上にチームの勝利に貢献するインパクトのあるバッティングが多々あった。長いシーズンを考えると、2人はなくてはならない戦力ではある。岡田監督の放置は2人への期待の裏返しでもある。
だが、一方で岡田監督は、忖度抜きの実力主義者だ。結果を残す選手にチャンスを与えるのがポリシー。前川と小野寺に関しては、実力は把握しているが、それ以上の成長をここからの練習試合、オープン戦の結果で示し、そして、まだ未知数の野口、福島らが使わざるを得ない結果を出し続ければ、巨人との開幕戦のレフトとライトに、あっと驚くアナウンスが行われても不思議ではない。
(文責・RONSPO編集部)