「レフトの人もうかうかしてられへん」…阪神の前川右京がノイジーを押しのけ巨人戦の開幕スタメンに急浮上!23日の“プレ開幕戦”で戸郷と激突予定
阪神が20日、沖縄宜野座で韓国のサムスンと練習試合を行い、2―0で勝利し対外試合で3連勝を飾った。岡田彰布監督(66)を喜ばせたのは試合を決める先制2ランを放った智弁学園高卒3年目の前川右京(20)。指揮官は「レフトの人もうかうかしてられへん」と右肘を痛めて別メニュー調整となっているシェルドン・ノイジー(29)からレギュラーの座を奪いとる可能性があることを示唆した。3月29日の巨人との開幕戦では、すでに右腕の戸郷翔征(23)が開幕投手に指名されており、左打者の前川が開幕スタメンに名を連ねる可能性も急浮上してきた。
フルカウントから粘って先制2ラン
バットのヘッドが走った。
2回二死三塁の先制機に「8番・レフト」でスタメン出場した前川に最初の打席が回ってきた。マウンドにはサムソンのストレートを動かしてくるタイプの大型右腕、李浩成(イ・ホソン)。1-2と3球で追い込まれ、4球目のインサイドのストレートをファウルにした際にはバットが折れた。それでもフルカウントまでしぶとく粘り、8球目の外角へ半速球となって甘く入ってきた137キロの変化球を見逃さなかった。ポイントを前にして捉えた打球は先制2ランとなってライトの芝生席で弾んだ。前日はフリー打撃で新外国人ゲラの157キロを柵越えしていた。
岡田監督はニヤリだ。
「2試合連続のホームランか。昨日もゲラからホームランを打っている。2試合じゃないか。2日連続か。本当に順調にいいアピールをしている」
17日の楽天との練習試合では、岡田監督は「ホームランやヒットがアピールとちゃう。野球観を勉強せなあかん」と苦言を呈した。6回二死一塁で走者の小幡に盗塁のサインが出ていたが、前川は初球を簡単に打ち上げてセンターフライ。チーム打撃のできなかった前川に対して指揮官は「1軍では使えん」とバッサリと切り捨てた。そのコメントを見て前川は奮起。「1番・レフト」でスタメン出場した翌18日の広島戦では、3打席連続で出塁してチームの勝利に貢献した。
岡田監督には、3年目の前川のそういう姿勢と成長の姿が頼もしく映った。
近本のセンターを除き、激化している外野争いの中で前川には左打者というアドバンテージがある。優勝した阪神打線は、固定が売りだが、岡田監督の戦略の中に対右腕に対して左打者を並べようとする傾向がある。
「右バッターばかりになってしまった。近本の他に左は前川1枚だけ。あとは怪我。前川の場合は。去年も良かったけど怪我をしたので、その辺は注意しながらね。本人が一番分かってると思うんだけど、怪我がなければ当然、1軍の戦力としてやっていけると思う」
辛口の岡田監督が、評論家時代に「こいつは打つよ。ええバッティングセンスをしている」と評価していたのが、ルーキーの前川だった。高卒の野手がなかなか出てこない阪神の問題点を解消する一番の候補だと買っていた。
昨年は自主トレ中の怪我でキャンプから出遅れ、シーズン中も左肩を痛めたり、発熱で離脱するなど度重なるアクシデントでチャンスを生かすことができなかった。結局、33試合、打率.255、0本塁打、7打点の成績に留まった。岡田監督は、怪我なくシーズンをフルに戦い抜く基礎体力さえつけば、貴重な左の外野手として1軍の戦力になると踏んでいる。