浦和の元J1得点王のチアゴ・サンタナ(中央)も広島守備陣の徹底マークにあって機能しなかった( 写真:森田直樹/アフロスポーツ)
浦和の元J1得点王のチアゴ・サンタナ(中央)も広島守備陣の徹底マークにあって機能しなかった( 写真:森田直樹/アフロスポーツ)

なぜ大型補強の浦和レッズは広島との開幕戦でこけたのか?

 関根は「そこ(サンタナ)でボールを収めてくれれば一番いい」と前置きした上で、相手の徹底マークに対抗できなかった点を敗因のひとつにあげている。
「それが無理だったら、次はウイングがどうにかしないといけない。そこの優先順位を考えながら、全員で解決方法をもうちょっと明確に整理できればよかった」
 サンタナだけではない。アンカーとして攻撃の組み立て役を担ったグスタフソンにも、加藤がプレッシャーをかけ続けた。ボールを収める選手と配球する選手を封じられる展開が続いたなかで、浦和の選手たちのベクトルが全体的に下がってしまった。
 ドイツ代表のヘッドコーチを務めた経験を持つミヒャエル・スキッベ監督(58)に率いられて3年目。過去2シーズンで続けて3位に入った広島に完成度の高さを見せつけられた開幕戦でもあった。
 サンタナに代わって後半31分から投入され、巧みにボールを収めながら攻撃に変化を与えた37歳の大ベテラン、FW興梠慎三もこんな言葉を残している。
「相手には積み上げてきたベースがあるけど、僕たちは監督が代わって公式戦のまだ1試合目。監督がやりたいサッカーを100%できたかと言うと難しかった。相手の方がシンプルなサッカーをしていたし、セカンドボールもうまく拾われてしまった」
 攻撃陣を中心に、近年にない大型補強を行った浦和が、ヘグモ体制をスタートさせてまだ5週間。指揮官の要求を具現化させようと焦るばかりに自らを追い詰め、臨機応変さを失わせてしまった感も否めない。ボールを敵陣に運べない時間が続いた後半は、変革途上にある浦和の現在地を象徴していたと言ってもいい。
 真新しい雰囲気が漂う試合後の会見ルーム。スーツにネクタイ姿のヘグモ監督は、初めて指揮を執った公式戦で喫した完敗を努めてポジティブに振り返った。
「今日は長年一緒にプレーしていて非常にまとまったチームとの対戦であり、難しい試合になると事前にわかっていた。それでも可能性を感じられる時間帯もあったし、時間とともに選手たちの関係性が深まればさらによくなっていくとも感じた。ただ、苦しい時間帯でセカンドボールを拾われ続けた点については、今後の教訓にしなければいけない」
 新たな可能性を最も感じられた場面が前半25分の決定機となる。
 右ウイングで先発し、一時的に左へ回っていた松尾佑介(26)がサイドを突破してグラウンダーのクロスを送る。同時にサンタナがファーへ逃げてマークを引きつけ、ニアにぽっかりと空いたスペースへ、右ウイングに回っていた関根があうんの呼吸で詰めた。

 

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