阪神の岡田監督が温める“秘蔵っ子”門別啓人の巨人戦デビューの“マル秘プラン”…札幌の凱旋登板で新庄日ハムを相手に躍動
阪神の2年目左腕の門別啓人(19、東海大札幌高出身)が2日、札幌ドームでの日ハムとのオープン戦に先発、最速は150キロをマークし、4回を投げ4奪三振2安打1失点の好投を見せた。岡田彰布監督(66)は門別を開幕ローテーから外すことを明言しているが、密かに温めているのが、3月29日からの巨人との開幕3連戦の2、3戦目にスポットで先発させるというマル秘プラン。先発6人衆のうち調整が若干遅れている投手が何人かいるが、長いシーズンを見据えて、もし開幕に間に合いそうにない場合は、無理させず、そこに門別を当てはめようというプラン。盤石な投手力を備えているからこその開幕戦略だ。
最速150キロをマーク
もう秘蔵っ子ではない。
北の大地への凱旋登板で門別が存在感を示した。地元の東海大札幌高出身の左腕は、その立ち上がりに先頭の細川に対しアウトローに140キロのストレートを決めて見逃しの三振、続く今川は142キロのストレートで押し込み一塁フライ、3番に入った阪口は2球で追い込み123キロのスライダーで三球三振。昨季は1軍経験のない若手と格の違いを見せつけた。圧巻のスタートである。
日ハムは、この日、本拠地のエスコンフィールドで今季からプロ野球のファームに参入するオイシックス新潟アルビレックスとのイースタンの教育リーグがあり、1軍メンバーの多くをそちらに送り込んでいたため、新庄監督は、4番には現役ドラフトでソフトバンクから獲得した“ロマン砲”水谷を据えていた。
2回は、その水谷に109キロのスローカーブから入った。空振りを誘い、ストライクを先行させると、カウント1-2から内角にストレートをズバッ。坂本はミットを動かしていなかったが、判定はボール。さらにフルカウントからアウトコースにストレートを投じると判定はまたしてもボール。これはボール判定もやむなしのコースだったが、内角球のボール判定を試合後の岡田監督は「ボールなん?入っていたやろ?」と、かなり怒っていたらしい。
無死一塁の走者を出しても門別は落ち着いていた。
併殺を狙い、浅間をセカンドゴロに打ち取る。俊足の打者走者が一塁に残ったが、続く元阪神の江越には、低めにボールを集めてカウントを整えて、高めの“釣り球”でスイングアウト。スタートを切られて二塁を許し、得点圏に走者を背負うが、田宮を迎えて冷静に目先を変えるカーブを2球続けた。
阪神OBの1人は、「あれだけ厳しいコースを突いてボールと判定されると、普通は、甘めに寄るものだが変わらず厳しいコースに投げ続けた。しかもピンチでこそ時間をかけて冷静に変化球を織り交ぜる。プロ2年目とは思えぬ自信と投球術。下半身が粘れて、フォームに安定感があり、球離れが遅いので、ボールが上下にぶれない。自らの特徴を把握しているのだろう」と評価した。
カウント1-2から坂本は外角に構えていた。珍しく141キロのストレートは逆球となってインコースに流れ、逆方向のレフト前に弾き返された。先に1点を失うが、3回は動揺もせず三者凡退。福田に対しては、この日、最速となる150キロを示した。岡田監督は、スピードガン表示で140キロ台後半が少なかったことを不思議がっていたそうだが、札幌ドームでのプロ野球開催が久しぶりでスピードガンの調整が序盤はうまくできていなかったのではないか、という話もある。
門別は、4回に先頭の今川にセンターフェンス直撃の二塁打を浴び、一死から水谷に2つ目の四球を与えたが、浅間、江越を連続でレフトフライに抑えて得点を許さなかった。4回で59球を投げ4奪三振2安打1失点。結果も内容も合格だろう。
スポーツ各紙の報道によると阪神OBでもある日ハムの新庄監督も「2回、3回といくに連れてスピードガン以上のボールのキレ(があった)」。素晴らしいピッチャーになっていくんじゃないですか」と絶賛したという。