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サラリーマンボクサーの阿部麗也が米国で世界挑戦に失敗した(写真提供・KG大和)
サラリーマンボクサーの阿部麗也が米国で世界挑戦に失敗した(写真提供・KG大和)

井上尚弥が近い将来狙う世界フェザー級タイトル戦線動く…米国上陸の“サラリーマンボクサー”阿部麗也は右目に深刻ダメージ受けて8回TKO負けでベルト奪取ならず

 ロペスのスタイルは映像で研究していたが、実際のリングでは面食らった。
 7ラウンドが終わると、レフェリーが「しっかりとディフェンスしないと、試合を止めるぞ!」と陣営に警告しにきた。
「ブロッキングして勝負にいっていいぞ」
 片渕会長がいちかばちかの指示をした矢先のロペスのラッシュだった。
これがV3戦となるロペスは、一発、一発、強打してきた。
 阿部は「体ごとくるんでパンチはありました」と振り返った。
 神奈川県の藤沢市にある自動車などの精密部品を製造する「プレス工業」に朝8時から5時まで溶接工として勤務するサラリーマンボクサー。異色のスタイルで世界の舞台まで上り詰めてきたが、今後については「サラリーマンボクサーも勝てなきゃ意味がない。次はまた考える。ここ海外を経験できたのはでかいんで」と語り、再起への意欲をちらつかせた。
 一方のロペスは、「オレは相手を常にリスペクトしていた。目が腫れのはわかっていた。日本人のハートが強いのを知っているが、私もハートが強いことを見せることができた」と、リング上で胸を張った。
 そして「統一チャンプになることが夢。なんだったら上(スーパーフェザー級に)上がってもいいし、次の試合(WBA王座決定戦)の勝者を相手にしてもいい」と次戦の目標を口にした。
 メインイベントでは、リー・ウッド(英国)が返上したWBAのベルトをかけてホルマトフとフォードが対戦。11ラウンド終了時点の採点ではジャッジの2人がホルマトフを支持している状況だったが残り7秒で、フォードが右の一撃を効かせ、足を使って逃げきろうとするホルマトフを追って、さらに右ストレートをヒットさせた。ここでホルマトフは横を向いてしまい、そこにフォードが左で追撃。レフェリーは、ウズベキスタン人の戦意喪失とみなしてTKOを宣告するという劇的な幕切れで新王者が誕生した。リング上でホルマトフ陣営は抗議していたが、横を向いた時点でアウトだろう。
 ロペスに統一戦を熱望されたフォードは「誰でも戦う」と返した。
 フェザー級は、現在、スーパーバンタム級の4団体統一王者の井上尚弥が近い将来、5階級制覇を狙って上がってくる注目の階級である。他団体を見るとWBO王者は、大番狂わせで、五輪2連覇のロベイシ・ラミレス(キューバ)を破ったラファエル・エスピノサ(メキシコ)。WBCは、レイ・バルガス(メキシコ)が正規王者で、暫定王者がブランドン・フィゲロア(米国)。井上にWBC&WBO王座を奪われた後にフェザー級に転級したスティーブン・フルトン(米国)もランキングの上位にいる。そして井上が参戦してくる前に先にベルトを獲得しようと狙っている3人の日本人ボクサーがいる。最も世界に近いのは、前OPBF東洋太平洋同級王者の堤駿斗(志成)。ベルトを寸前で逃したホルマトフは、2016年の世界ユース選手権の準決勝で堤が判定勝利した相手。IBFの同級5位につけているのが元2階級制覇王者の亀田和毅(TMK)だ。3月31日に名古屋で「負けたら引退」と公言して前回敗れたIBF同級2位のレラト・ドラミニ(南アフリカ)と再戦する。勝てば1位に繰り上がる可能性もあるだろう。また日本フェザー級王座を防衛したばかりの松本圭佑(大橋)も同13位につけている。井上尚弥がそう遠くない未来にターゲットとしている激動のフェザー級タイトル戦線の動向からも目が離せない。

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