なぜ東京ヴェルディは5615日ぶりのJ1勝利を手にできなかったのか?
城福監督は現時点で、後半29分から途中出場させた、サイドバックを主戦場とする翁長聖(29)をゲームチェンジャーの一人として考えているという。
「もともとはサイドハーフというか、ワイドの前でやっている選手で運動量もある。右でも左でもプレーできるし、試合のクローザーとしても、あるいは前へ飛び出していって追加点を狙う上でも、そのオプションがあると思っていた」
翁長はFC町田ゼルビアでプレーした昨シーズンに、青森山田高から転身した黒田剛監督(53)が重用するロングスローも投げていた。ただ、マリノスとの開幕戦では左サイドバックとして先発フル出場しているだけに、タイプの異なるゲームチェンジャーが、例えばカウンターから追加点を狙える、スピードを武器とする選手が必要となる。
歴史的な白星は逃してしまったが、それでも悲観する結果だけが残っているわけでもない。マリノス戦と異なり、6分が表示された後半アディショナルタイムを耐え忍んだヴェルディは、1-1の引き分けとともに勝ち点1を獲得した。
J1リーグでの勝ち点獲得は、1-1で引き分けた2008年11月23日のコンサドーレ札幌戦以来、実に5579日ぶりとなる。さらに過去3戦全敗、計14失点を喫していた鬼門の埼玉スタジアムで、通算4戦目にして初めてとなる勝ち点も手にした。
小学生年代にジュニアでプレーしていたヴェルディへ、得点力を期待されてこのオフに京都サンガF.C.から期限付き移籍する形で復帰した木村が言う。
「他にチャンスがなかったわけではないので、そこで自分を含めた前線の選手が追加点を決めれば、後ろの戦い方も変わってくる。そうなればゲームとしてもっと楽に進められたはずなので、今後への課題として取り組んでいきたい」
9日の次節は2戦2引き分けと、こちらも白星のないセレッソ大阪のホーム、ヨドコウ桜スタジアムに乗り込む。すぐにゲームチェンジャーは生まれない。それでも開幕戦より手応えをつかみ、白星をもぎ取るための課題も明確にしたヴェルディは、既存の選手たちの奮起も力に変えながら、3度目の正直で15年もの空白を埋める勝利を目指す。
(文責・藤江直人/スポーツライター)