井上尚弥と5.6東京ドームで戦う“悪童”ネリは本当に優等生に改心したのか?…山中慎介氏と“歴史的和解”後にインチキで勝った「あの試合はイージーだった」との問題発言を繰り返す
プロボクシングのスーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(30、大橋)が5月6日に東京ドームで元2階級制覇王者でWBC同級1位の“悪童”ルイス・ネリ(29、メキシコ)と防衛戦を行うことが6日、都内のホテルで両選手が出席して発表された。ネリは元WBC世界バンタム級王者、山中慎介氏との2度にわたる世界戦でドーピング疑惑、体重超過の失態を犯していたが、会見の冒頭で謝罪。会場にいた山中氏にも、直接謝罪するなど歴史的な和解をしたため井上は「過去の因縁は持ち込まない」と語ったが「あの(山中との)試合はイージーだった」と問題発言を繰り返すなど本当に優等生に改心したかに疑念は残った。ゴングが鳴るまで何が起きるかわからない超ビッグファイトだ。なお試合の模様はAmazonプライムビデオにて独占ライブ配信される。
体重超過で日本リングを追放になっていたネリの謝罪
会見は“悪童”の異例の謝罪から始まった。
ヘビ―級の3団体統一王者だったマイク・タイソン(米国)が、伏兵のジェームス“バスター”ダグラス(米国)にKO負けした“世紀の番狂わせ”以来、34年ぶりとなる東京ドームでのボクシング興行。記念すべき記者会見の冒頭で、緊急来日したネリは、「再び日本の地を踏むことができてうれしく思う。申し訳なかったと、まずは謝りたい。コミッション(JBC)、ボクサー、帝拳プロモーション…すべての方々に謝罪を申し上げます」と謝罪と反省を口にした。
黒のジャケットを着たネリは神妙な顔つきだった。
「今は集中してきちんと練習をしている。2度、裏切ってしまったが、節制して、きちんと調整をしている。グレートな試合をしたい」
ネリは2017年8月に当時のWBC世界バンタム級王者の山中氏(帝拳)に挑戦し、4回TKO勝利でベルトを奪ったが、ドーピング疑惑が浮上した。WBCの指令で両者は2018年3月に再戦。今度は2.25キロもの体重超過の失態を犯し、再計量でも1.3キロオーバーで計量をパスできずに失格、王座剥奪となった。当日の体重に制限を設けることでネリへの大ブーイングが吹き荒れる両国国技館で世界戦は実施されたが山中が2回TKO負けを喫した。JBCは事態を重くみて、ネリに無期限の活動停止処分を下した。
今回、ネリサイドは、井上への挑戦を実現するためにJBCに謝罪並びにライセンス申請資格の回復を求める文書を提出。JBCは倫理委員会にかけた上で2月26日に処分の解除を決定した。
ファンは憎っくき“ネリ退治”に乗り出す井上への思い入れが大きい。
それでも井上は、こう心境を明かす。
「(ネリと山中の)第2戦は、あの会場(両国)で観戦している。経過はわかっているが、今回の戦いは、自分対ネリ。先ほどネリが挨拶で言っていた。反省もしているということもあるので過去の因縁は持ち込まないように戦いたい」
正式発表前には「向こうの陣営、本人が日本での過去のことを発言したり、持ち込んでくるんであれば山中さんを応援していたファンの方の気持ちを持って挑みたい。向こうの出方次第」とも語っていたが、会見で見せた優等生の姿を評価したのだ。
隣で、その井上の考えを聞いたネリは、「尚弥選手のコメントは良かった。私は集中して試合をやりたい。日本の皆さんが何を考えているかをあまり考えずに集中したい」とコメントした。
ネリは山中氏との歴史的和解も果たした。記者会見が終了すると報道席に座っていた山中氏が壇上に残っていたネリに歩み寄った。するとネリは「申し訳ない。私の間違いで、山中選手のキャリアを終わらせたことを“ごめんなさい”と謝りたい」と謝罪。山中氏は、笑顔で握手を求めて「今は(体重超過したあなたより)私の方が体重が重い」と冗談を返すとようやく表情が緩んだ。
会見でネリのプロモーターであるショーン・ギボンズが現在の体重がスーパーバンタム級のリミットの55.34キロに残り5キロを切った134ポンド(60.78キロ)であることを明かしていたため、山中氏が「今の体重は60キロなんですか?」と聞くと、「60キロちょうど」と言う。
「節制したんですね?」と、山中氏が問うと「凄い神経を使っています。2か月前で体重管理に入っています」と説明した。
「いい試合を頼みますよ。東京ドームを楽しみにしています」
山中氏がそう語りかけて握手すると2人は大量のカメラのフラッシュを浴びた。
だが、本当にネリは優等生になり改心したのだろうか。