井上尚弥と5.6東京ドームで戦う“悪童”ネリは本当に優等生に改心したのか?…山中慎介氏と“歴史的和解”後にインチキで勝った「あの試合はイージーだった」との問題発言を繰り返す
ただすべての懸念事項がクリアされれば 36戦35勝(27KO)1敗の戦績を持つネリは、過去最強の挑戦者だろう。スーパーバンタム級に階級を上げてからWBC王者となり、2階級制覇に成功した。WBA王者だったブランドン・フィゲロア(米国)との統一戦に7回にKO負けし、その統一王者をスティーブ・フルトン(米国)が破り、そのフルトンに井上が勝ったわけだが、ネリは、WBCの挑戦者決定戦も含めて、現在4連勝中。サウスポースタイルからラフに左右のパンチを打ち込んでくる回転力と突進力には要注意。何をやってくるかわからない不気味さがある。おまけにKO率は75%だ。
危険なマッチメイクをした大橋会長も言う。
「パンチ力は過去一番のクラス。ドネアもあったけど怖さはネリの方がある。ここ最近、井上に勝ちにくる、倒しにくるボクサーはほぼいなかった。ネリは、この2つが揃ったボクサー。勝負は早い。前半で勝負が決まるかも」
井上も警戒している。
「気を引き締めていかねばならない戦いだと思う。過去一、仕上げなければならない。試合内容として凄く白熱する試合になると予想している。一発のパンチはあるなという印象がある。映像を見ている限り、打たれ強い選手だと感じる。ストロングポイントをあげるなら、そこかなと」
だが、パウンド・フォー・パウンドに敵はいない。
「4団体の王者としてふさわしい試合をしたい。ネリに対して圧倒的に勝てばキャリアのなかでステップアップできる。まず勝つことが大前提。内容的にはネリに何もさせずに勝つ。そこを目指して挑戦していきたい」
すでにサウスポーのメキシコ人パートナーを2人呼び対ネリ対策を講じてのスパーリングがスタートしている。
また今回の東京ドーム大会には、日本のボクシング史上初となる4大世界戦が組まれた。2月24日に元IBF世界スーパーフライ級王者のヘルウィン・アンカハス(フィリピン)との激闘をKOで決着したばかりの弟で、WBA世界バンタム級王者の井上拓真(大橋)が同級1位の石田匠(井岡)と2度目の防衛戦を行い、WBA世界フライ級王者のユーリ阿久井政悟(倉敷守安)がV1戦で同級3位でOPBF東洋太平洋同級王者の桑原拓(大橋)の挑戦を受け、元K-1王者の武居由樹(大橋)がWBO世界バンタム級王者のジェイソン・マロニー(豪州)に初挑戦する。井上は「全勝してこの日を締めくくりたい」と言い、このことも2階級4団体統一王者のモチベーションを高めるプラス要素となっている。
会見最後のフォトセッション。2人はほとんど目を合わせなかったが、最後にどちらからともなく手を差し出して握手を交わした。ネリは、一瞬笑った後に、すっと真顔に戻り敵意を見せた。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)