「大きな罪悪感がある」なぜレアル・ソシエダの久保建英はPSGのエムバペに歯が立たなかったのか…1-4完敗で欧州CL敗退
日本代表MF久保建英(22)が待ち焦がれた初めての大舞台は、ベスト16で終戦を迎えた。5日(日本時間6日)に行われたUEFAチャンピオンズリーグのラウンド16第2戦で、久保を擁するレアル・ソシエダはホームでパリ・サンジェルマンに1-2で敗れ、2戦合計1-4で敗退した。エースに成長した久保が2戦連続でフル出場しながら、なぜソシエダはフランス代表FWキリアン・エムバペ(25)を擁するリーグアンの強豪に完敗を喫したのか。
マークしていたエムバペを見失う
逆転への希望は15分とたたないうちに打ち砕かれた。
縦パスに抜け出したエムバペがペナルティーエリア内の左側、ゴールラインに近い位置まで侵入。戻りながらシュートフェイントを入れて、マークするソシエダのDFイゴール・スベルディア(26)を揺さぶる。しかし、2度目はフェイントではなかった。
迷わずに振り抜かれたエムバペの右足から放たれた強烈な一撃が、対角線を切り裂くようにソシエダゴールの右隅へ突き刺さった。守護神アレックス・レミロ(28)もほとんど反応できない。第1戦との合計スコアが0-3となった瞬間に勝負は決した。
ソシエダの地元紙『Noticias de Gipuzkoa』は、先制点を奪われた瞬間にMFマルティン・スビメンディ(25)が抱いた、絶望感に支配された胸中を伝えている。
「失点しないことが大事だったのに……あの先制点が僕たちを殺したんだ」
エムバペは後半11分にも自陣からの縦パスに反応し、自慢のスピードを駆使して左サイドを突破。ゴール左隅へ難なく追加点を突き刺した。ホームのソシエダも後半44分にMFミケル・メリノ(27)が1点を返したが、文字通り焼け石に水だった。
第1戦でも先制弾を決めたエムバペだけでなく、フランス代表FWウスマン・デンベレ(26)、ポルトガル代表MFビティーニャ(24)らのタレントを擁するパリ・サンジェルマンに圧倒された末の敗退。スポーツ紙『AS』が伝えたソシエダのイマノル・アルグアシル監督(52)のコメントからは、両チームの圧倒的な差が伝わってくる。
「彼らを祝福したい。エムバペだけじゃない。デンベレ、ビティーニャらを含めた彼らは驚異的なフィジカルパワーを持ち、そしてチームの集中力をトップレベルで保たせる、素晴らしいコーチ(ルイス・エンリケ監督)がいる」
ソシエダにとって10シーズンぶり3度目、久保にとっては初めてとなる最高峰の舞台、チャンピオンズリーグへの挑戦はベスト16で終止符が打たれた。
グループステージでは昨シーズンの準優勝チーム、インテルと3勝3分けの勝ち点12で並び、得失点差で上回る堂々の1位突破。自信を膨らませながら臨んだラウンド16だったが、リーグアンで過去11シーズンのうち9度も優勝し、今シーズンも首位を独走しているパリ・サンジェルマンの壁はソシエダにとって高く、そして険しかった。
敵地で2月14日に行われた第1戦は、激しいプレスを繰り返したソシエダがやや優位に立って前半をスコアレスで折り返した。均衡が崩れたのは後半13分。ファーを狙ったパリの右CKから、一瞬の隙を突いてエムバペが豪快なボレーを突き刺した。
エムバペをマークしながら、見失ってしまった久保は試合後にこう語っている。
「それまでいい試合をしていただけに、この失点には大きな罪悪感がある」