• HOME
  • 記事
  • サッカー
  • なぜ鹿島も撃破した無敗の町田はJ1でも旋風を巻き起こしているのか…青森山田高仕込みのロングスロー戦法も通用?!
青森山田高の監督から転身した黒田剛監督に率いられた町田がJ1でも旋風を巻き起こしている( 写真:長田洋平/アフロスポーツ)
青森山田高の監督から転身した黒田剛監督に率いられた町田がJ1でも旋風を巻き起こしている( 写真:長田洋平/アフロスポーツ)

なぜ鹿島も撃破した無敗の町田はJ1でも旋風を巻き起こしているのか…青森山田高仕込みのロングスロー戦法も通用?!

 突然の配置転換を介してカミナリを落とされた形の藤本は、試合後に「交代の場面では、スパイクも履いていなかった」と反省しきりだった。
 平河は鹿島戦後の取材エリアで「町田の原則」という言葉を2度口にした。黒田監督が就任時から注入してきた「体を張る。体を投げ出す。絶対に逃げない」の守備の三カ条であり、チーム内の合言葉になって久しい。
 これが激しいプレスの源となり、相手にロングボールを蹴らせ、ボールを奪った後の町田もそれを多用する展開に繋がる。シンプル・イズ・ベストと言うべきか。無骨な戦い方に実は隙はなく、ポゼッションを戦い方のベースとするチームほど、町田が用意する“アリ地獄”にはまる。アジアカップでイラン代表に屈した森保ジャパンと同じ図式だ。
 今後は昨シーズンの王者・ヴィッセル神戸や暫定首位に立つサンフレッチェ広島など、強度の高い守備を武器とする同タイプのチームとの対戦で真価を問われるだろう。もちろん、この先の長い戦いを無失点で終えられるわけがない。夏場の消耗戦になれば運動量も減り、プレスも鈍ってくる。それも覚悟の上とばかりに平河は言う。
「先に失点したときにも動揺せずに、自分たちのサッカーができればと思う」
 最上位カテゴリーのJ1の舞台でも、J2を制した昨シーズンと同じく、町田は台風の目となりつつある。黒田監督は「この1勝は輪をかけて嬉しい感情がある」と、20冠を誇る鹿島からあげた歴史的白星に目を細めながら、チームの原点をあらためて強調した。
「われわれにとって失う物は何もないし、開き直って思う存分にサッカーができているからこそ、精神的にも優位に立ちながら戦えている」
 16日の次節は敵地で北海道コンサドーレ札幌と対戦する。昨シーズンのJ1リーグで3位となる総得点56をマークするなど、攻撃力を看板とする札幌とは1月の沖縄キャンプ中のトレーニングマッチで対戦。そのときは町田が2-0で快勝している。
(文責・藤江直人/スポーツライター)

関連記事一覧