なぜ阪神の岡田監督は1イニング4失策でヤクルトに逆転を許しOP戦でいまだ勝ち星なしの7連敗に終わっても激怒しなかったのか?
阪神が8日、甲子園でのオープン戦でヤクルトに6-5で逆転負けを喫して7連敗。5-0でリードしていた8回二死から、まさかの1イニング4失策で6点を失い逆転を許した。岡田彰布監督(66)の逆鱗に触れそうな試合内容だったが、なぜか試合後の指揮官は何も苦言は呈さなかった。これでオープン戦でいまだ勝ち星なし。阪神が目指す球団史上初の連覇は大丈夫なのか?
「何も言わんほうが気が引き締まる」
極寒の甲子園にまさかの光景が繰り広げられた。
5-0で迎えた8回だ。マウンドには左のセットアッパーの桐敷。二死一塁からソフトバンクから移籍の増田がライトのファウルゾーンに打ち上げたフライを前川が追いつきながら、行き過ぎる形になってグラブに当てて弾いた。記録はエラー。強い浜風が吹いていた。増田、北村拓の連続四球で満塁となり、続く西田をショート正面のゴロに打ちとったが、今度は小幡の二塁へのショートスローが大きくそれて2人が還った。さらに二死一、三塁から濱田の左中間を襲った打球を背走しながら余裕で追いついていた森下が、グラブにボールを当ててポロ。侍ジャパン帰りの森下の落球で、2人が還り、5-4と1点差となった。ルーキーの伊藤を迎え、ショートへのドンづまりの打球が内野安打となった。これも記録には残らないが、ダッシュが中途半端だった小幡の事実上のエラーだ。
一、三塁となって代打の内山がセンター前ヒット。同点となり、岡田監督はベンチで笑っていた。打者が一巡して北村恵がまだショート正面のゴロ。小幡が大事にいこうとしすぎて、なんと後逸。負の連鎖は止まらず逆転を許してしまったのである。4人で終わっていたはずの桐敷は、46球を要してマウンドを降りた。もちろん自責はゼロである。
8回裏もバットでミスを取り返したい前川が四球で歩いたが、続く高寺の打席でフルカウントからスタートを切らせて三振ゲッツー。その後でミエセスにヒットで出るチグハグ攻撃で無得点に終わり、9回も、代打糸原、森下、井上と3人で終わり、オープン戦7連敗。いまだに白星がないままゲームセットとなった。
岡田監督の逆鱗に触れてもおかしくない試合内容だったが、スポーツ各紙の報道によると、試合後の囲み会見は、いたって通常モード。
「凄いことが起きるなあ」
「何も言わん方が気が引き締まるんちゃうか。ごちゃごちゃ言わん方が」
怒るどころかニヤっと笑ったという。
いかにも岡田監督らしい。
オープン戦で岡田監督は、まだ勝負モードには入っていない。試合後のコメントも計算ずくである。もちろん本音主義ではあるが、チーム内外への影響力を考えた上で発言している。エラーしたのは、前川、森下、小幡の3人。森下はレギュラー候補で、前川、小幡も開幕1軍には入ってくるメンバーではあるが、レギュラー争いのボーダーライン上にいる位置づけの選手である。